僕は猫である。

僕は猫である。
名前はブリ男(仮名)。

猫

だと思うんだけど、一緒に住んでるデカい生き物が僕を見ると必ず「かわいー」と言うから、名前は「かわいー」かもしれない。その辺はちょっと自信がない。

デカい生き物と最初に会ったときのことは、何となく覚えている。
デカい生き物がまだ赤ちゃんだった僕を抱っこして「かわいーかわいー」とうるさかったからだ。
僕はデカい生き物にひっついていたベラベラ(飼い主注:ファスナーの金具)が気になって、それを叩いたり齧ったりして遊んでいた。

2回目にデカい生き物と会ったとき、僕は眠かった。だから抱っこされたまま眠った。
目が覚めてもまだデカい生き物が抱っこしていて、「ウチの子になる?」と訊いてきた。
何のことかよくわかんなかったけど、寝起きのかすれ声で適当に返事をしたらデカい生き物と暮らすことが決まってしまったらしい。「うんめい」とはわからないものだ。

 

デカい生き物は、明るい時間はどこかに行ってしまう。
僕が考えるに、きっと別の部屋で寝ているに違いない。暗い時間も寝ているし、よく寝る生き物だ。
まあそこは僕がデカい生き物に合わせてあげて、明るい時間も暗い時間も寝ることにしている。

たまには、明るい時間にもデカい生き物は部屋にいる。
大きな音を立てる生き物(飼い主注:掃除機)を連れてウロウロしていたり、机で指をカタカタやっていたり(飼い主注:PC)、キッチンで僕に秘密の何かをやっている。
デカい生き物がいると、なぜか僕は家(飼い主注:ケージ)から出られるので、デカい生き物のやることを見張っている。飽きたらオモチャで遊ぶ。小さなネズミがお気に入り。

デカい生き物は、ソファでも寝る。僕が遊んでほしいのに寝るから腹が立つ。呼んでも「んー?」としか言わない。だから僕はデカい生き物を踏みつけてやるんだけど、それでも寝てる。
もっとも、僕も明るい時間はいつも寝ているので、デカい生き物が眠っているのを見ると眠くなる。だからデカい生き物にひっついてソファで寝る。
たまにデカい生き物にこしょこしょされて、僕は気持ち良くなってしまう。はしたないけど腹を開いてしまう。そんで腹もこしょこしょされる。
仕返しにデカい生き物の手を捕まえてキックするんだけど、デカい生き物はそれを「ご褒美」という。へんなの。

猫

朝と夕方と夜、デカい生き物は猫じゃらしを取り出す。
なぜ普段は隠しておくんだろう。出しっ放しにしといてくれればいつでも遊べるのに(飼い主注:危ないからです)。

じゃらしは、羽根とか紐とかカシャカシャとかいろいろある。
お気に入りは羽根だ。なんだか「やせいのち」が騒ぐ。羽根をガッと捕まえてガブッと噛む僕ってすごくカッコイイと思うんだ。

最近の「まいぶーむ」は、デカい生き物に乗って羽根を狙うこと。
高いところからジャンプして羽根を捕まえるのって楽しい。デカい生き物の膝に乗るのもいいけど、背中に駆け上ってジャンプすると爽快。デカい生き物も「いたたたたた!」と言って楽しそう。

じゃらしに夢中になっていると、デカい生き物に「ブリ男、ゴハンだよ」と言われる。
僕はもっと遊びたいから、デカい生き物を無視する。そうするとデカい生き物がじゃらしを持って逃げてしまう。それを追いかけるとゴハンがあるので、お腹が空いていたことに気づいて食べる。

ゴハンを食べていると、じゃらしが消える。
デカい生き物のところに行ってじゃらしの行方を訊いても、アイツは「ゴハン美味しかったの~。よかったね~」と見当違いのことを言う。
じゃらしも気になるけどヒゲについたゴハンが気になって顔を洗うと、デカい生き物は「ブリ男はお顔を洗うのが上手ね~」と猫なで声を上げる。だから僕は洗顔は必ずデカい生き物に披露してやると決めている。

じゃらし、どこに行っちゃったんだろう。とウロウロしていると、お腹がへんな感じになってくる。うわー、へんだ! どうしよう! 僕は叫びながら走る!
デカい生き物に「ブリ男、ウンチ?」と言われて、このへんな感じはトイレだと思い出す。トイレに入って砂を掻いて一生懸命踏ん張っていると、デカい生き物は「ブリ男はおトイレが上手ね~」とご満悦だ。ウンチの何がそんなに嬉しいのか、僕にはいまいち理解できない。

しかもあのデカい生き物、僕のウンチをすぐ掘り起こしちゃうんだ。せっかくきれいに埋めたのに。
何やってるんだろう、と見に行くと「そのスコップ、ウンチがついてばっちいよ」と言われる。僕のウンチをばっちいだって。アイツは失礼な生き物だ。
しかもあのデカい生き物は僕のお尻を見てくる。ウンチがついてたらお尻を拭くからたまったもんじゃない。「お尻を拭かれるのはイヤなのにトイレ掃除は邪魔するんだね~」とデカい生き物は言うけど、別に邪魔しているつもりはない。

僕が夜食を食べていると、デカい生き物は部屋の灯りを全部消してしまう。
そんなことをしても僕には全部お見通し。思いっきりアイツの上に飛び乗って「遊ぼう!」と叫んでやる。
でも、デカい生き物は動かない。さっきまでじゃらしを振っていたのにもう寝ちゃったみたい(飼い主注:狸寝入りです)。
赤ちゃんのときはいっぱい暴れてデカい生き物を起こそうとしたけど、僕はもう一人前だからそんなことはしない。よく寝る生き物は、寝かしてあげないと可哀想だからね。それに、どんなに叩き起こしても暗いときはアイツは起きないんだ(飼い主注:狸寝入りです)。

一人前の僕は、ひとりで遊べる。爪をバリバリ研いで、ぬいぐるみを蹴り飛ばして、デカい生き物がイヤがる壁登りにも挑戦する(飼い主注:登れなくて「壁へのぶつかり稽古」みたいなカンジに終わる)。
ときどき夜食の残りを食べたり、水を飲んだり、おしっこしたりする。
僕は一人前だからね。何でも自分でできるんだよ!

ときどきは、デカい生き物の様子を見に行ってやる。
寝ているときは大声を上げて飛び乗るなんて無粋な真似はしない。そっとベッドに上がって、デカい生き物の顔を覗き込む。

デカい生き物は、すーすー寝息を立てている(飼い主注:狸寝入りです)。
それを見ると、僕は安心して喉をぐるぐる鳴らしてしまう。安心し過ぎて「ふみふみ」をしてしまうほどだ。赤ちゃんっぽくてカッコ悪いけど、デカい生き物は見てないからいいや。

充分遊んだし、僕も寝ることにする。
寝る場所は、デカい生き物の頭の左側。枕やクッションでふかふかしているし、気が向いたときにデカい生き物の顔を触れるし、気に入っている。
赤ちゃんのときは家(飼い主注:ケージ)でひとりで寝ていたけど、せっかくデカい生き物が部屋にいるんだから一緒に寝てやると決めたんだ。

たまにはデカい生き物の手や腕にしがみついて寝る。
温かくて気持ちいい。喉がぐるぐる鳴る。
そうやって寝ていると、デカい生き物が「ブリ男は可愛いね」と呟くときもある。
なーんだ、寝てなかったんだ。起きているなら遊んでくれればいいのに。でも気持ちいいからこのまま眠ってしまおう。

また明るくなったらデカい生き物を起こせばいいもんね。

投稿者:

りんむじんづ

20代で購入したマンションは、無事にローンを完済したかと思ったら売り払い、30代でまたまたマンションを買いました。好物はマンションの間取り図。旅とグルメにも目がありません。ブリティッシュショートヘアの男子(ブリ男)との同居を始め、ますます極楽な生活を送っています。

6 thoughts on “僕は猫である。”

  1. りんむじんつさま

    初めてコメントさせて頂きます。
    私もマンションを買い替えたところでして、りんむじんつさんのお書きになる記事のひとつひとつに共感させていただいておりました。
    そんな折、りんむじんつさんがブリティッシュショートヘアを飼われたということで、嬉しくなってしまいました。私もブリティッシュショートヘアを飼っております!
    うちのは2歳の雌で、全身グレーなのがブリ男ちゃんとは違うところですが、ブリ、可愛いですよね。
    ブリ男ちゃんと楽しい日々を過ごされますように!

    1. ゆサマ
      コメントありがとうございます!

      なんと!
      マンション買い替え&ブリショー仲間とは、かなりレアですね笑
      2歳だと、もう落ち着いた大人のオンナですもの、ふふふって顔してるんでしょうね。
      全身グレーのブリショー可愛いですよね〜。

      ゆサマのマンション&ブリショー生活もますます楽しくなりますように!
      今後ともよろしくお願いします❤️

  2. ブリ男、もう可愛いなぁ。
    「デカい生き物」の幸せ感、半端ないですね。

    1. いちひめサマ
      デカい生き物はいっぱい幸せをもらってます!
      ブリ男も幸せだといいなあ。と思いながら撫で回して甘噛み&キックを食らってます。

  3. 絵に描いたような美猫ですねぇ
    可愛く生まれて、大切に育てられて、ブリ男ちゃんきっと幸せですよ
    何の疑いも無く愛されてのびのび育っている小さな生き物を見ていると、私まで幸せになれます

    1. ひまわりサマ
      そう言っていただけると嬉しいです。
      ブリ男が毎日満たされて生活できますように…とお世話してますが、本人は「もっと遊べー!」とむくれているときがあるので伝わってないようです。とほほ。

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