なぜオバチャンという生き物は飴ちゃんをあげたがるのか

新築マンションに引っ越したばっかりでウッキウキのはずの友人が、どんよりと暗い顔をしていました。

何があったのかと訊ねてみると、お母様から椅子をプレゼントされたそうです。
……何の断りもなく。

米や野菜や煮物や佃煮ならともかく、そうそう消耗しなければ滅多に買い替えない家具を勝手に搬入されるのは手痛い。そりゃ暗くもなるわ。

sandwich

いや、親という生き物は、米や野菜や煮物や佃煮もヘタするととんでもない量を寄越すときがあるので、罰当たりにも食料品でさえどんよりしてしまうこともしばしばです。

ウチの母もご多分に漏れず子どもには何かをどっさり送りたい人で、実家を出てからの十数年は「いかに母に勝手に救援物資を送らせないか」という戦いの歴史だったと言っても過言ではないです。

確かに独立してすぐのときはお金がなかったし、転職やら何やらバタバタしたときは明日の米を心配するような生活を送っていたときもありました。
が、普段は薄給OLとはいえ3食摂っておやつも食べちゃう程度のお給料は貰っているわけです。
せっせと食べ物を送ってもらっても「美味しいうちに食べ切れないがな……」と困惑してしまう。

まず、ひとり暮らしでは大量に生鮮食品を消費できません。
大量のピチピチ青菜はそのほとんどを下拵えしたうえで冷凍庫に投げ込むしかない。冷凍野菜は便利なんだけど、フレッシュなものを小ロット買って美味しいうちに食べ切る方が好きなんですよね。

そして、ひとり暮らしでは宅配便を受け取れる時間帯も限られている。
仮に段ボールの中身が米と缶詰だらけで宅配ボックスに入れられるならいいけど(でも米と缶詰入りの箱を自力で運ぶなんてイヤだけど)、予告もなくクール便で送られるとまあ困ること困ること。
一度、母からゲリラクール便でトマトやら生ワカメやらをを送られて、さすがのクール便でも数日経つうちに残念な有様になったことがあります。

そもそも、いかに都会(名古屋だけど)の野菜が高いとはいえ、クール便の送料を出せば美味しいトマトくらい手に入るんだよ! つか、ちょっと変わった食べ物なら都会(名古屋だけど)の方が入手しやすいんだよ!
ナマモノをいきなり送って食材をムダにするんじゃない!

と、そのときは懇々と母に言い聞かせ、それ以来ゲリラクール便攻撃は止みました。
でも、油断すると何かしら送ってくるのは止めませんね……。
「戸籍謄本を送って」とお願いしたハズが封筒ではなく段ボール箱で届いて、中には切干大根やお取り寄せしたお菓子なんかがぎっしりと、なんてことが珍しくない。

それをさせないためにも定期的に母と顔を合わせて、そのときに何か貰って母を満足させ、「食材を送りたい病」を発症しないように仕向けています。
昔は救援物資をやみくもに断っていたのですが、適度に貰っておいた方が結果的に被害が少ないですね。

最近は、母の方もようやく「ひとり暮らしでは大して食材を消費しない」ということを悟ったらしいです。
以前は有無を言わさずナスを1袋押しつけてきたのが、最近は「ナスは何本要る? 1本? 2本?」と訊いてくれるようになりました。

おかげで母との十数年に渡る戦いも終息の様相を見せて、あげたいキモチと貰って嬉しい程度のバランスがようやく取れてきました。

 

それにしても、なぜオカンという生き物はあんなに食べ物をあげたがるんでしょうねー。

と、昔は不思議だったのですが、最近はちょっと理解できるような気がします。

歳を取ると、若い子に食べさせたくなるのですよ!!

後輩に奢るとかそういうレベルでなく、とにかく若い子のお腹を満たしたくなるのです。仲良しの子じゃなくても、何なら見知らぬ人でも。
会社で自分用に買ったおやつを近くの席の人に配りたくなるし、新米を入手したら友人知人にバラ撒きたくなる(新米の季節がやってきたー!!!!)。

これは恐らく、自分が老いて思いっきり食べたいのに食べられなくなったから代理で食べてもらいたいという気持ちもあるのですが、それよりももっと本能的に、次世代を飢えさせることに恐怖を感じているのだと思います。

というのも、自分が生殖可能な年齢の頃はそーゆー気持ちが湧かなかったのに、初老が近づいてこりゃもう子は産めんわ~となった途端「老いたワタシが食べてもしようがないから、まだ若い子がたんと食べなされ」と思うようになったんですね。

ワタシの場合は実子も養子もいないので「次世代を飢えさせたくない」という欲望はせいぜい後輩に飴ちゃんを渡すくらいで満たしていますが、自分の子がいたら全力で食べさせたくなるんだろうなーと想像がつきます。
んで、母の場合はそれがクセになって娘が40歳になっても食べさせたくて仕方ないという……。

本能に突き動かされた結果なら仕方ないなーということにして、母が買い物や料理をできる内はせいぜい食べようと思います。

というわけで、会社のお局さんが「お菓子あげる☆」と言ってきても、そういう生き物だと思って受け取ってあげてください。

おひとりさまの食生活 ~朝食および弁当編~
こんな食生活だからこの歳になっても親に心配されるんでしょうねえ…。

スマイスターMagaZineにてコラム連載中!

投稿者:

りんむじんづ

間取図だけで3杯メシが食え、旅のためだけに日々労働し、美味しいものを好きなだけ食べられるようにジム通いに励む、そんなOLです。

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