空き巣のバカヤロウ!

さて、空き巣に入られたハナシです。

鍵

恨みをこめてネチネチ書きますが、ご容赦願います。ええ、しつこいんです、ワタシ。

当時住んでいたアパートは、軽量鉄骨の2階建。階下がガレージになっていますが、斜面に建っているので正面から見ると1階がガレージ、2・3階が住居という風に見えます。総戸数は4戸で、ワタシ以外は夫婦や姉妹の2人住まいのようでした。
立地は駅から徒歩20分。結構な坂を2回も登って下ってと通らなくてはいけなくて、ハイヒールは履けないし夏は汗だくになるし、ホント不便でした。何度「駅から近いところに引っ越そうかな~」と思ったか分かりませんが、結局丸3年は住み続けました。

なぜかというと、まず一つはとても広くて収納が充実していたからです。
40平米くらいで、ひとり暮らしには充分すぎるほど充分です。玄関と洗面所が少々狭いのは不満でしたが、それまで洗面所がなかった1Kマンションに住んでいたのですから大出世です。
そして収納。ウォークインクローゼットに加え、天井まで高さがある巨大な可動式のクローゼットが2間分くらいあったのです。すべての衣類や鞄、こまごました日用品、お客様用布団を収納してもまだスペースがある。人生でこれほど収納にゆとりを持ったことはありません。おかげで、ここに住んでいる間は持ち物が膨張する一方でした。

そしてもう一つは、周囲の環境です。
大学に程近い高級住宅地で、ウロウロしている人々は皆様小奇麗。ウチの前で遊んでいるガキんちょも、なんとなく品良く見えます。
そして、目の前は大企業の研修所で桜をはじめとする木々に恵まれ、アパートの周囲も鬱蒼とした森。アパートの天井はとても高く、それに合わせて南向きのサッシもでかく、森の様子がよく見えました。
よく晴れた休日に洗濯物を干し、空と木々を眺めながらベッドでごろごろ本を読んでいると、政令指定都市ではなく山でノンビリしているような錯覚に陥ります。

結局、持ち物を圧縮するのは面倒だし、部屋で森林浴ができるのは魅力的だし、そりゃ駅から遠いし虫は多いけど大金払って引っ越すほどでもないかぁ~なんて思って住み続けていたわけです。
ところが、住み始めて4年目に突入しようかという冬の土曜日、事件は起こりました。

夜更けに帰宅すると…

当時、実家からは車で30分少々という立地だったので、ときどき週末には実家でご馳走になって、実家の近所のシネコンでレイトショーを観る、ということをやっていました。
その日も、実家で鍋をたらふく食べた後1,000円で映画を観て、ゴキゲンで帰路についたわけです。
いつも通り駐車して家に入ろうとしたとき、お隣さんの玄関が開いて「こんばんは」と声をかけられギョッとしました。引越しの挨拶はしたものの、顔を合わせたときに挨拶する程度の仲です。深夜の1時にもなろうという時間帯に(しかも寒いのに)一体なんだ!? とビックリしたのです。

お隣さん:「ウチ、今日空き巣入られたんで、お宅もやられているかもしれませんよ」
ワタシ :「は!? そうなんですか?」←まだ頭が回っていない
お隣さん:「他も軒並みやられているみたいですよ」
ワタシ :「え… そうなんですね…。ありがとうございます」←やっぱり回っていない。

パジャマ姿のお隣さんはおウチに入られ、ワタシは自分ちの鍵を開けて中に入りました。
玄関入った瞬間、「あ、ウチも入られた」と分かりました。
入ってすぐ目につく窓の網戸が外されていたのです。
部屋中の電気を点けて見てみると、クローゼットはすべて開けられ、引き出しも全部開けられているようです。服や下着の類は触られていない様子。玄関・キッチン・バストイレもノーマークのようです。
ウォークインクローゼットと、日用品を収納していたクローゼット、テレビボード代わりにしていたキャビネットが重点的にやられています。
ザッと見回しただけでも、めぼしい鞄(ヴィ○ンとか)・時計・貴金属は根こそぎ持っていかれたようでした。通帳・印鑑・パスポートなどは無事のようです。

そしてクチャクチャになった家の中……。
当時、土曜の朝に掃除してから午前中に日本画の教室に行くのが習慣でした。朝掃除したばかりなのに、床や窓際に置いた電子ピアノに足跡がついています。
幸い、何かを激しく破壊されているようなことはなかったのですが、それでも哀しくなりました。

とりあえず、生まれて初めての110番です。
お隣さんに聞いていたので覚悟はしていたつもりですが、動揺していたようです。なんと、住所を聞かれてすぐに回答できませんでした。こりゃ身の危険が迫った切羽詰った状況じゃ、自分の名前も言えなくなるのが分かる気がします。
110番の後、お隣さんにも報告しました。

ワタシ :「ウチもやっぱりやられてました…」
お隣さん:「あー、ホントですか。ウチ、買ったばかりのノートパソコンとかいろいろやられましたよー」
ワタシ :「今から警察が来てくれるみたいです。ありがとうございます」
お隣さん:「ガラス大丈夫ですか? ウチ掃出し窓のガラスが破られました。寒いからすぐつけてもらわなきゃいけないのに、なんかここのガラス特別なサイズみたいで高かったんですよー」

とぼとぼウチに帰ったあと、心細くて実家に電話してしまいました。
まだ姉が起きていたのをいいことに、電話でひとしきり愚痴です。夜中の電話に驚いた母も起きてきて、次の日(というかもう当日)来てくれることになりました。
しんしんと冷え切った乱雑な部屋の中で(なんか現場保存で暖房もつけちゃイケナイ気がして)何十分も警察を待つのはつらかったです。

現場検証!

さて空き巣が散らかした部屋で警察を待つこと数十分。
110番ってすぐ駆けつけてくれるわけじゃないの!? とちょっとイライラ気味の頃、ようやくチャイムが鳴りました。
現れたのは、人のよさそうなオジサンと、ワタシと同世代の若い女子です。
2人だけ?と思ったのですが、後で鑑識班が回ってくるとのこと。なんでも、この日は同じ区内だけでも十数件もの空き巣被害があったそうな。空き巣に吉日の日、とかあるんでしょうか。

発見までの経緯を聞かれ、部屋の様子をザッと確認されます。
ワタシは気付いてなかったのですが、手口はピッキングとのことで玄関の鍵がぶっ壊れていました。帰ってきたとき鍵を差し込んで回したのですが、そんなことしなくても開いていたようです……。
そして、これまた気付いていなかった足跡をスリッパで擦ってしまったようで。靴底模様がハッキリしない足跡が床にいくつかありました。すみませんねぇ、捜査の撹乱して。てへ。

こんな非常時になんですが、小さい頃から推理小説を大量に読んできたワタシ。
不謹慎ながら、ナマの現場検証に興奮してしまったことは否めません。事情聴取なんて交通事故以外では初めてです(言っておきますが、事故は100%被害者の立場です。加害してません。念のため)。「ホシを割るために!」と必要以上に喋るのにも力が入ります。

「あのコレ、気になるんですけど」と、ワタシが指したのはテーブルの上の名刺。海外旅行が趣味なワタシは、当時余ったコインを記念に持って帰って、国ごとに封筒に入れてました(今は空港の募金箱に突っ込んできますが)。封筒を入れていた引き出しは荒らされてはいたのですが、封筒だけが突出して反応されてました。ビリビリになっていたのです。
名刺は、その封筒に入っていた外国人のものです。友達の友達にもらったやつとか、お店でもらったやつとか、そういうヤツ。

ワタシ :「ここだけこんなに荒らされるってことは、外国人なんでしょうか」
オジサン:「いや違うね」←断言
ワタシ :「でも他はこんな風になってないし……」
オジサン:「いや違う。こんなにキレイなのは日本人の仕業だよ。外国人は荒らすからね~」

なんか釈然としないものが残りますが、相手はプロです。それ以上ワタシも何の根拠もないので、黙ってみました。どっちが正しいかは後日判明することになります。

そうこうしているうちに鑑識班の到着です。オッチャン達が次から次へとやってきました。あまりにも大勢いて、何人かカウントできません。よくテレビで見る「指紋取るポンポン」(何ていうのか知らない)が見られるかと思ったのですが、誰も使っていませんでした。空き巣くらいでは指紋を取らないのでしょうか……。
それから、ワタシは調書を取られながら盗まれた物品の詳細説明です。この棚にはこういう箱に貴金属を入れてました。ガーネットとゴールドのリング、30,000円くらいと、ダイヤの0.2カラットのピアス、地金はシルバーゴールドで20,000円くらいと…(以下略)などということを全部を事細かに説明して、最後に収納場所の写真を撮られます。
かなりの時間が取られたので、こりゃ十数件も空き巣があれば深夜になるわなぁと、ワタシもぐったりしながら納得しました。
警察の皆さんが帰ったあと、疲れきったワタシは風呂も入らず寝てしまいました。

空き巣に入られると、やらなきゃいけないことがたくさんある…

夜が明けたら、まずは管理会社に電話です。壊れた鍵を直してもらわないと、出かけることもできません。
アパートの他の住人からも連絡が入っているので、すぐに来てもらえました。来てくれた業者には「鍵は2つないとダメだよー。補助錠つければよかったのに」と言われました。今さらながら防犯意識の低さに反省です。痛い目みないと、災難が自分に降りかかるってなかなか想像しにくいですね。
取り替えてもらった鍵の費用は、自費です。自分のモノじゃない家の鍵を、なんで自分で払うわけ!? と思ったら、大家さんや管理会社の都合じゃないから自腹になるみたいですね。なんとまぁ。
領収書を保険会社に回せば下りるとのことですが、なんとなく釈然としません……。

そしてこの保険ですが、ありがたいのですが面倒でもありました。
まず、盗られたモノの領収書がないとダメとか言いやがるのです。
そんなこと言われても、10年前のバッグとかの領収書やカード支払い明細なんて残っているわけない。数万程度のレシートも、引き落としが無事済んでいればバンバン処分しています。が、数万も積もれば結構な額になります。諦めるワケにはいきません。
とりあえず審査の資料にするので、物品の説明と、購入場所・購入金額・購入年のリストを作って寄越せというので作りました。「お支払いできないかもしれませんがね」と念を押されつつも……。
盗難被害物品のリストは警察にある事情聴取資料と照合するため、「えへへ、現金100万円とか書いちゃお♪」というわけにはいきません。何を警察に言ったか、思い出しつつ挙げていきます。

そして、警察のオジサンに説明している間は気付かなかったのですが、後から「あ、これも盗られていた!」と気付くものが結構あります。最初にパーッと挙げた数と同じくらい出てきます。諦められる金額ではありません。落ち着いていたつもりですが、やっぱり動揺していたんですねぇ。
警察にそれを言うと、最寄の交番でいいから出向いて調書を取り直せと。仕方ないのでリストを握って出頭です。事故とかで調書を取った人はわかると思いますが、あれ間違いがあっちゃいけないからなのかなんなのか、独特の文体で警察官が手書きするんですよね。結構時間がかかりますし、「えっ、そういう状況なのかなぁ…」とニュアンスが伝わらない文章になったりして、歯痒いです。
幸い、保険会社もまぁまぁ良心的で、ほとんどレシートがなかったにも関わらず何割かは保険金が支払われました。腕時計がひとつもなくて不便していましたが、よかったよかった。

とはいえ、イタリアで買ったカメオや、父親に買ってもらったシルバーリング、カネでは買い戻せない思い出が詰まったモノがいっぱいワタシの手許からなくなったのは、本当に本当に哀しいです。
そして、さらにカネでは手に入らないもの。
自分の家の中が一番落ち着くという安心感。
出かける時も、帰る時も不安。外出中も一日中テレビや電灯を点けっぱなしにして、それでも怖くて常にドキドキしてました。寝ていても、「ここを得体の知れない誰かが入り込んで荒らしたんだ」と思うと恐怖に苛まれます。
金額的な被害は、いつかは稼いで取り戻せるかもしれませんが、安心感は一度壊れると二度と戻りません。

空き巣被害に遭ってから神経がへとへとになって、1週間で引越しを決意しました。
ひとりで暮らすのも怖くて、家電や家財を処分して実家に戻ることにして、ひとまずひとり暮らし生活にピリオドを打つことになります。まいったまいった。

その後

引っ越して3カ月経った頃のことです。
出張で3日間ほどケータイの電波が届かない山奥の研修所に監禁されていたワタシは、3日目の夕方研修所から会社に戻るバスの中でケータイ(当時はガラケー)をチェックしました。
メールが数件、留守電が1件。
留守電が1件?
電話がスキではないので用事のあるときくらいしかかけませんし、友達からもかかってきません。会社から緊急の用件か? そしたら電波が届かないって分かっているんだし、研修所に電話してくるよなぁ。
訝しがりながら留守電を聞くと、警察からでした。
なんと空き巣が捕まったそうな!!

バスを降りて、急いで警察に電話です。
なんでも空き巣はコロンビア人で、男・男・女の3人組だったそうな。だからゆったやんけ、オジサンよー!
お隣さんの新品ノートパソコンが税関で引っかかって、シリアルナンバーで所有者がわかったりして、結構ずさんなドロボウだった様子。
盗品は所持していれば返還させるし、お金で返させることもできるけど、モノは本国に送付した後でお金も持っていないとのこと。「そういう事情ですから、りんむさんのところには何も戻ってきません」と、警察のにーちゃんに宣告されてしまいました。
ワタシが愛用していたエルメスのリングが、今はコロンビア人の指にはまっている…。絶望的です。
ワタシにしてもらえることは、3人の裁判の行方がどうなったかを知らされることくらいだそうな。ぜひ教えてくださいとにーちゃんに言ったものの、結局連絡はありませんでした。
にーちゃんも忙しいだろうし、こちらとしては「執行猶予3年でーす」なんて甘い判決を聞きたくもないし、まぁいいです。
たかが空き巣かもしれませんが、味わったストレスからすると、ワタシ個人としては死ぬまでキツい労働させて返金させてやりたいです。こっちだって日々頑張って働いて稼いでるんだ!!
数十万の返金ができないよーな人間を刑務所に入れてあげて寝床と食事を与えるというのも、刑罰として正しいことなんだろうか。とかいろいろ考えちゃいました。

マンションを買ってからは、玄関にはツーロックに補助錠、掃出し窓にも補助錠つけて、侵入可能そうな窓には防犯フィルムを貼っています。
それでも旅行とかで家を空けるときなんか、神経質に戸締り確認しちゃいますね。ホントに、もうイヤですもん。
皆さんも気をつけてくださいね。

ヴィトンがいくつ盗られたことやら…。
参考:最近のルイ・ヴィトンはダメだ

スマイスターMagaZineにてコラム連載中!

投稿者:

りんむじんづ

間取図だけで3杯メシが食え、旅のためだけに日々労働し、美味しいものを好きなだけ食べられるようにジム通いに励む、そんなOLです。

「空き巣のバカヤロウ!」への13件のフィードバック

  1. こんなに古い記事にコメント残してごめんなさい
    最近、自宅で窃盗の被害にあって、何となくりんむさんのことを思い出してしまいました
    お金では買い戻せない、思い出の品の数々
    犯人は、警察が見つける前に私の手でボコりたい気分です(やりませんけど)

    うちは大丈夫、とか思わないことですね
    勉強になりました

    1. ひまわりサマ
      コメントありがとうございます。

      窃盗に遭われたとのこと、お見舞い申し上げます。
      ホント、金銭だけじゃなくて安心感や思い出も踏みにじるって犯人は人でなしですよ。
      ひまわりさんとこの犯人は地獄に落ちるようワタシから呪いをかけておきます!

  2. お見舞いの言葉、沁みました。
    窃盗にあったことはなぜか友人にも言えず、ひとりで毎日悔し涙を流しています。
    以前は、たとえ物を盗られても命があればまし、だと思っていました。
    そうでもないですね、結構精神的にきついです。

    いつも大好きで読んでいるブログなので、今度はもっと楽しい記事にコメント出来ればなーと思います。

    1. ひまわりサマ
      悪いのは100%盗人ですから、我慢せずに愚痴った方がスッキリするかもしれませんよ。
      ひまわりさんの体験談で防犯意識が高まるご友人もいるかもしれませんし。
      しばらくは嫌な気分を振り払えなくてお辛いでしょうけど、ご自愛くださいね。

      ひまわりさんからの楽しいコメント、すぐに頂けると信じてます!

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