経済白書や統計局データを読んでフフフとなる

内閣府や総務省のレポートや白書を読むのが好きです。

Book

さすがに頭のいい人達が作っている資料なだけあって、1年間のトピックスを端的にまとめ上げたうえで政府の意思をしれっと織り交ぜるのが上手です。

特に経済白書は大好物!

何が面白いって、そのときどきの情勢を如実に表しているところです。
公開分最古の昭和29年度から読むと、時代の移り変わりに目を丸くする。

例えば昭和29年度の「むすび」を見ると。

調整は困難と苦痛を伴うであろう。失業その他社会的問題の激成も楽観を許さない。しかしこの苦しい過程を終えない限り日本民族は政治的独立にふさわしい経済的自立の緒につくことはできないのである。この過程の下、己むを得ずして発生する犠牲については、温かい愛情をもってこれに対処しなければならない。

どうです。この武骨な文言。
経済白書なんだか頭の固いオッサンが管を巻いてるんだかよくわかんないところが笑える。

平成の政府が「温かい愛情をもって」とか言っても「いいからまともな施策を出せ!」とブーイングの嵐に違いない。
でも昭和20年代のことだと思うと「温かい愛情、ありがたいね」としっくりくるので不思議です。

当時は国際収支が赤字で危機感があった頃。
その危機感の煽り方がなかなか味わい深いです。

(外貨が減ると)いよいよ輸入を切り詰めなければならない時が来る。食糧輸入を大幅に切り詰めると日本国民は再び終戦後のような食糧不足の苦しみを味わわなければならない。工業原料の輸入が思ったようにできないならば工場も人員を整理し、巷には失業者があふれるであろう。

戦後の生活の厳しさがトラウマになっていたのね……ということがしみじみ伝わる文章です。
不景気だなんだ言ってもワタシの世代だと飢えたことはないからなあ。それが先人のおかげだと思うと、頭が下がる思いです。

とワタシが思ってしまうのも当然で、そもそも経済白書は

「家計も赤字、企業も赤字、政府も赤字」とその深刻さを国民に訴えた
昭和60年度 経済白書 むすび

という性格のものらしいです。
なるほどね。妙に浪花節な文体だと思ったらそういう役割だったのか。

こういう戦中派の苦労を知ってか知らずか、高度成長期を経てバブルな時代の平成2年度になると。

日本はいまや名目的には非常に豊かになった。

と、脱貧乏宣言をしています。

一応「名目的には」と書いてあるように、この豊かさは本物なのかという問いかけも併記されています。
まあでも食うや食わずやの戦後の切迫感に比べたら全然ぬるい。なんかいろいろ懸念点はあるけどさー今後も技術革新がんばろうぜーという緩いカンジでまとめられています。

それがバブル崩壊がはっきりした平成5年度の白書になると、バブルの問題点と反省がズラズラと並んだテンションの低い文章に変化します。
しかしやはり悲愴感は今ひとつ。
あんな景気がいつまでも続くわけないんだよねーと言い訳が並び、「温かい愛情」などと言っていた政府も40年近く経つと変わってしまうのね…とちょっと悲しみを覚えるほどです。

にしても、時代が下るにつれて文体が軽くなっていく様は、日本人が軽くなっていく様子をそのまま表現しているかのようです。

特に近年はやたらとカタカナが混じって、軽佻浮薄。

交易条件の改善は、サステイナブルではあるが、プラスサムではない

マクロの生産性上昇力とミクロのリストラクチュアリングへの歩みを生かしながら

目が滑る滑る!

さすがに政府が愛情云々と言うのは今の時代にはそぐわないけれど、日本語で書ける部分は日本語で書けよと思ってしまいます。
カタカナ表記ってさ、カタカナで定着してしまって日本語化しづらい用語に限定すればいいのに。ルー大柴じゃないんだからさ。

と文句をつけたい部分もあれど、そのときどきの空気が凝縮されている文章を読むのは楽しいです。
内閣府にはこれからも良い白書を出していただきたいものです。

 

さて、今度は総務省統計局が出しているデータについて。
ワタシが好きなのは家計ミニトピックスです。

かぼちゃへの支出」のページを見ると「最も支出が多くなるのは冬至。年寄りほどよく買う」ということが真面目に書かれています。
ほかにも「こんにゃくへの支出」とか「温かい飲み物への支出」とか、そんなの知ってどうするんだ? てな資料がずらずらと並んでいる(でも「チョコレートへの支出」は、ワタシはやっぱりチョコ買い過ぎだなーとしみじみした)。

話の枕的に使えそうなネタが揃っているので、話題に困っている方は参照してみる価値がありますよ。

 

このほかにも面白い家計のデータがあります。
ワタシが気に入っているのは、年間収入五分位階級別のデータ。
収入を低い方から並べて5分割して比較するというなかなかえげつない資料で、これを見る度に「ワタシってマジ薄給だわ!」と哀しくなります。

これの何が楽しいって、収入別に支出の平均額が記載されていること。
単身世帯のハナシではないのでまるっと参考になるわけじゃないけど、自分の生活が偏ってないか確認できます。

面白いのが、住居費。
収入が高い世帯の方が月々の負担は少ないのね。住居費以外は、大体は収入が高い世帯の方が支出が多いのですが。
ローン完済済みの持ち家に住んでるとか、そういうことなんでしょうね。「持てる人は負担が少なくて結構なことですわね」と僻んでしまいます。
(固定資産税は反映されていない金額だから住居にかかる総費用としてはもっと払っているんでしょうけど。)

というわけで政府の資料は暇潰しにオススメです。
もちろんこのブログも引き続きよろしく!(媚び媚び)

投稿者:

りんむじんづ

20代で購入したマンションは、無事にローンを完済したかと思ったら売り払い、30代でまたまたマンションを買いました。好物はマンションの間取り図。旅とグルメにも目がありません。ブリティッシュショートヘアの男子(ブリ男)との同居を始め、ますます極楽な生活を送っています。

2 thoughts on “経済白書や統計局データを読んでフフフとなる”

  1. ルー大柴ですか・・・
    ロミ山田・・・NHKの連想ゲーム
    ディック峰
    カルーセル麻紀

    なんでしょうねこの和洋混在な、ハーフ感
    戦後のギブミーチョコレートを彷彿させます

    1. けんぼうサマ
      カルーセル麻紀しか分かりませんでした(^_^;)

      戦後より平成のがギブミーチョコレート感があるってのも面白いですね!

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