入院生活6日目
管も取れ、食事も排泄も自力でやれて、ちょっとなら歩けるようになって、退屈してきた。
となると、歩き回りたいのが人情じゃないですか。

ということで朝食を済ませてから売店に行ってみました。
売店は、ワタシの病室から最も離れた場所にあります。
そんなときめくような店ではなく駅構内のコンビニ程度の規模なのですが、退屈をこじらせているのと、病院内の商品の品揃えが気になって覗きたかったのでした(外来時は覗き損ねた)。
ドレーンが抜けて点滴棒のみになったとき、看護師さんや作業療法士さんに「売店に行ってもいいですか?」と質問すると、皆さん表情をちょっと曇らせます。
まだしっかり歩けるかわかんないのと、あとは迷うのを心配して、ってところです。
迷ったら途中でその辺を歩いているスタッフに訊けばいいし、疲れたらその辺にたくさんあるベンチで休憩すればいいし、なんなら倒れても病院内だし。
とワタシは軽く見ていましたが「誰かに付き添ってもらえばいいかもしれませんね…?」といい顔されなかったので、やめておきました。
さすがに忙しい人達に「ちょっと売店まで散歩したいんです」とはお願いできない…。
てことで、点滴からも解放された今、勝手に行ってやれ! と冒険することにしたのでした。
手術のときに何度か往復したし、初診のときもあちこちうろうろしたし、看板もあるし。
…と思いましたが、迷いましたね。
あれっあれっと挙動不審な動きをしていたら、見かねた看護師さんが方向を教えてくれました。
売店に辿り着いて商品チェック。
什器はフツーのコンビニです。冷蔵ケースもあればアイスも売っている。
ちょっと変わっているのは、衛生用品の豊富さですね。
ドラッグストアか? ってくらい揃っていて、ドライシャンプーも下着もメイク落としも、お尻拭きやら包帯やらもありました。
と、いかにも病院らしい売店なのですが、お菓子やインスタントラーメン、菓子パンなんかも結構充実していました。
食事制限のある入院患者もいるだろうに、無防備だなー。
いや、患者だけじゃなくてスタッフも買うだろうから必要なのか。
なんてことを考えながら、水のペットボトルと、ふふふ、買っちゃいましたよ。お菓子を。ガルボをやっちゃいました。
管理栄養士さん、ごめんなさい。
しっかりカロリーや栄養を見てもらっているのに、こんな悪いことをして。
てな罪悪感半分とウキウキ感半分で、病室に戻ったのでした。
病室に戻る間、右脚がやはり上手く動かせません。
痛みはないけど、筋肉が無さ過ぎて上手く動かせないカンジです。
午後、リハビリのときに作業療法士さんと話していて、かなり筋力が衰えた人は膝を固定する器具を履かせて歩く、なぜなら体重を支えられなくて膝からガクンと崩れ落ちるから、と教えてもらいました。
ワタシの場合は、そのごくごく軽い版なカンジ。
膝ガクンまではいかないけど、あれっ、上手く踏ん張れないな。右脚をちゃんと動かせていないな。となるのです。
手術前はここに尻から足首にかけて痛みがあったから、そりゃもう歩くの無理無理となっていました。
それがこの日は筋肉ないなーと違和感ありつつも、無事に病室へ戻れました。
そうそう、リハビリは毎回多種多様なメニューを繰り出してくれて面白いです。
基本は爪先立ちやスクワットなどの下半身の強化のほか、バランス感覚を見たり、歩いたり、というカンジ。
最後に脚や尻の筋肉をほぐしてもらえるので幸せです。
んで、リハビリに使用した器具でちょっと欲しいと思ったモノがあります。
ひとつはストレッチバンドです。
まあ手芸用の平ゴムとかでも代用できるのでしょうが、それなりに幅があって滑らない方がやりやすいですからね。
座った状態でこれを太腿に巻き、抵抗するように脚を開いたり閉じたりする。
これでお尻の外側に効き、翌日筋肉痛になりました。
もうひとつは立った状態で足首に巻き、足先を真っ直ぐ前に向け、膝を曲げずに横歩き。
これも脚の外側に効く動作でした。
検索してみるといろいろ使い道がありそうで、場所も取らないだろうし、退院後も自宅でトライしてみようと思いました。
もうひとつは、バランスディスクです。
これをふたつ並べ、その上に片足ずつ乗せて立つと、面白いくらいブルブル震えます。
そのブルブルを堪えて立つだけでも筋肉を使っているからOKと言われました。
慣れればひとつのディスクに両足乗せて、もっとブルブルすればよさそうです。
そして、これに乗ってスクワット。
さすがに片手は手摺をすぐ掴めるようにしていましたが、意外にできました。
バンドよりは嵩張るけど、仕方ない、これも買うか〜とAmazonのカートにイン。
退院日が決まったら買っちゃえ、とお楽しみにしました。
その肝心な退院日ですが。
この頃になると会うスタッフ会うスタッフに「退院日は決まりましたか?」と訊かれ、その度に「まだなんですよ〜」と答えていました。
が、この日昼の担当だったちょっと頼りない看護師さんによると、治療計画書(で合っているのかな?)には本人が退院日を決めるとなっているそうな。
ええ、何それ?
手術前に、主治医に入院期間について訊いたら「一応一週間から10日くらいが目安ですが、6日後とかでもイケると思いますよ。でもまあ切ってみないとね。手術後に相談しましょうね」とのことだったので、切った後に医師(主治医以外の)から「何日に退院できますよ」と言われると思っていました。
まさか主導権がワタシにあるとは思わないじゃないですか。
切ってみたら、まあ一応動けるし食べられるし、もう死にゃしないし大丈夫なんだろうな。ただ、売店のときのように歩くのはちょっとよたよたしているな。というこの日の感触からすると、もう退院してもいいんだろうな、とは感じました。
そして、歩けるようになって周囲の病室やリハビリ室のほかの患者さんの様子を見ると、ワタシよりずっと高齢で重篤な人が多い。
「おたんこナース」のイメージで、入院病棟にはあちこちフラフラする患者さんがいるものだと思っていましたが、ワタシが入院した病院はちょっと違うようでした。
そうしてみると、ちょっと痛くて筋肉弱い程度の若者(もう若くはないけど病院内ではヤング扱い)が、ホテル的に病床を使っていて、なんじゃそりゃってカンジなんだろうな…という気がしてきました。
それなら「君、もう死なないから出ていって」と言ってくれれば退院するのに、退院日を決めるのはワタシになっているのは、なんか変な気分です。
実際は「明日退院したいと言ってもオッケーなんですか?」と訊いてみると、頼りない看護師さんは「イケると思いますよ。先生に確認します」と病室を去り、「あれっ、りんむさんの主治医って山本先生じゃなくて山田先生でしたっけ」と勘違いが発覚し(山田先生は非常勤なのでその日は院内に居ない)、「なんか先輩もよくわかんないって風なのでちょっと待って…」となり、結局は「先生もメディカルアシスタントも今日明日は捕まらなくって…」とのこと。
なんだ、結局退院日は曜日と主治医の都合で決まるんじゃん、となりました。
さて、明日退院できないということがはっきりしたので、解決せねばならない問題があります。
何かというと、下着足らない問題。
パジャマやタオルはレンタルで済むけど、肌着・下着・靴下は自前です。
入院日数は主治医の都合を考えると10日近いかなあ。
とアタリをつけていて、それだけ持っていくのはしんどい(そして足りない分を買い足して収納するのもしんどい)ので、途中でコインランドリーか有料の洗濯サービスを利用する気でいました。
院内にはコインランドリーあるよ。洗濯サービスは看護師に訊いてね。
と入院案内にあったので、それで済むとみなしていたのです。
まず洗濯サービスについて頼りない看護師にナースステーションで訊いたら(この頃になるとナースコールは不要)、「あ、ちょっと確認します…」と奥に引っ込み、漁師網みたいなでっかい洗濯ネットを持ってきました。
それをいっぱいにしないと受け付けない、そして一週間は戻ってこないそうです。
使えないサービスだったか〜。
とコインランドリーに切り替え、その辺のスタッフに場所を訊きながら人気のない洗濯室に行くと、洗濯乾燥機の電源が入っていないではないですか。
最寄りのナースステーションに行くと誰もコインランドリーの洗濯乾燥機のことなんぞ把握しておらず、週末のため担当部署にも繋がらず、こちらも使えないと判明。
後で頼りない看護師さんにコインランドリーも使えなかったです〜と報告すると「あ、コインランドリーなんてあったんですね…」という反応だったので、幻の設備となっているようです。
まーね、これだけ重篤な人が揃っていれば、自力でコインランドリーで洗濯しようなんて人はあんまりいないんでしょうね。
というわけで、入院中にまさかの手洗いとなりました。
幸いタオルは無制限に貸してもらえるし、シャンプーやボディソープもでっかいボトルを置いてくれています。
なので手洗いはできるのですが…、ワタシ数日前に全身麻酔して背中捌いたんだけど…。
ま、これもリハビリだと思えばいいんだけどさ。
問題は干すことです。
入院準備中、旅行用の洗濯物干しが要るかなーと一瞬頭をよぎったのですが、いやいやコインランドリーあるしとスルーしたんですよね。
自分の危機感には素直に従わねば。
結局、病室のロッカーに残っていたハンガーに干しました。
先人よ、ハンガーを残してくれてありがとう。
病院が自宅から近ければ、姉に取りに来てもらって洗濯して持ってくるなんてこともお願いできますが、今回は遠方の病院なのでそれも叶いません。
入院する人には洗濯グッズも持参することをオススメします。
さて、朝買ったガルボは、午後のオヤツに食べました。
開封すると、ふわ〜んと立つチョコレートの香り…!
やだ、ガルボってこんなに芳醇なお菓子だっけ…?
ガルボは、仕事の合間、イラついたときに「この歯応えがいいんだよね!」と雑にバリバリ齧るお手軽チョコだと思っていました。
が、数日間健康的な病院食に慣れた後だと、劇物かってくらい刺激的で濃厚なチョコレートでした。
これは日々病院的な食生活を送ればスイーツが激うまになるのでは…!?
とも思いますが、そんなストイックな食生活は絶対我慢できない気がします。
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