イタリアに行くなら、ローマは外せません。
ナポリに寄る余裕がなくても、ミラノに行くのを諦めても、ローマに行かないということはありえない。
永遠の都、ローマ。すべての道はローマに通ず。
ヨーロッパ文明の根幹であり、キリスト教文化のお膝元です。ぜひじっくり周る時間を取ってください。
ローマの何が素晴らしいって、超絶に価値のある建物や美術がその辺にゴロゴロ転がっていることです。
あんまりにも何気なくミケランジェロやカラヴァッジオがあるからビビります。
築約2000年のパンテオンが入り放題とか、一体何なのこの街は。
そんなローマに何度か行くうち、ワタシはひとりのイタリア人に恋してしまいました。
彼の名はベルニーニ。
彼の設計する庭や建築物も素晴らしいけど、やはり何といっても彫刻がものすンごく美しい!!
ワタシのハートを打ち抜いたのは、ボルケーゼ美術館のこれです。
「プロセルピナの略奪」。
プロセルピナ(ペルセポネ)をかっさらおうとするプルート(ハデス)です。
なんなの! この躍動感! 肉感! 質感! 力強さとエロス!
この流れる涙と絶望的な表情もいい…!
も~~~、実物を見るとホントに鳥肌が立ちます。この像の前だけで半日過ごせるくらいの迫力。変態みたいにバッシバッシ写真を撮って、変人さながらガン見してきました。
同じくボルケーゼ美術館にある「アポロンとダフネ」も躍動感に満ち満ちています。
このダフネの身の捩り具合とアポロンの力強さ!
ワタシは男が女を簒奪する姿というのにどうも萌えるらしく、これまたゾクゾクさせられます。
ダフネの戸惑いの顔と、アポロンの超人とした表情(神様だから当たり前なんだけどさ)との対比もいい。
プルートのオトナな背中もたまらんけど、アポロンの若々しい後姿もいい…! あっ、涎が。
そしてこれまたボルケーゼ美術館にある「ダビデ像」もいいんです。
ワタシ、これまでフィレンツェにあるミケランジェロのダビデ像が至高だと信じていましたが、ベルニーニのを見て考えを改めました。
いや、これはこれで素晴らしいのですよ。青年の強い意志がこもった眼差し、躍動感溢れる筋肉、自信が滲み出る体躯。
でも、ベルニーニのダビデはさらにキュート……!!
なんじゃこの可愛い生き物ー!!!
この歯の食いしばり方、可愛くない!?
ミケランジェロのダビデには神性すら感じるけど、ベルニーニのダビデは庇護欲が掻き立てられる。よしよし、オバチャンが何とかしてあげるよー! と勝手に興奮してしまうわけです。
というわけでボルケーゼ美術館だけでもベルニーニの魅力にすっかり参ってしまうわけですが、ローマにはまだまだベルニーニ作品があります。
ナヴォーナ広場の「四大河の泉」。
こんなのが街中にポンとあるって、どういうこと…。
これまた石とは思えない躍動感です。水飛沫と相まって素晴らしい作品になっている。
泉シリーズでいくと、スペイン広場のこれもベルニーニ。
バルベリーニ広場近くの「蜂の噴水」も。
(肝心の「トリトーネの噴水」は修復中で見られなかった。ちっ。)
オベリスクの基部はほかにもこんなデザインがあります。
ミネルバ・オベリスク。
なんなの、この象の顔…。
躍動感だけじゃなく笑いももたらしてくれるベルニーニ。素晴らしすぎる。
街中だけじゃなくて、教会の中でも見られます。
こちらはサンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会にある「聖テレジアの法悦」。
うーん、エロい! これをよく教会に置く気になったもんだ。
こっちはポポロ教会にあるキージ家礼拝堂の「ハバククと天使」。
ハバククの戸惑いが手に取るように伝わってきます。
こちらは礼拝堂のピラミッド。
ここは天井も美しいのです。
教会内のベルニーニ作品の最たるものといえば、やはりサン・ピエトロ大聖堂でしょう。
この天蓋、写真だとよくわかんないのですがめちゃくちゃデカいんですわ!
このときはかなり手前でお留めされていたので近寄れず、ディテールを見ることができなかったのですが、元旦にミサの中継があってテレビでじっくり観察することができました。デジタルハイビジョンって素晴らしいね。
サン・ピエトロは聖堂も広場もワケわからん大きさです。
それが法王のお言葉が聞ける日ともなれば人がいっぱいになるっていうのがスゴい。
ローマでベルニーニ作品ががっぽがっぽ見られるのも過去の教皇の権勢があってこそ。ワタシにとって、それだけでもうキリスト教は価値あるものです。
One thought on “旅ログ ~ベルニーニに首ったけ! inローマ~”