ブリ男と暮らし始めて5年になりました。

参考:《猫生活4周年》猫と過ごす時間が飛躍的に増えた、幸福な1年
これを書くのは初めてかな。
ブリ男はペットショップ出身の猫です。
「猫と暮らすのもいいなあ」と思うようになって数年間、どんな生活になるかを妄想しながら、ペットショップや譲渡会を覗いたりブリーダーさん宅にお邪魔したりして、いろんな猫を見てきました。
参考:猫と暮らすための準備らしきものをしてみた。
んで、しばらく漠然と猫を探しているうちに、譲渡会では「ひとり暮らしで半日留守ですか…(そりゃないわ)」という反応をされるため、もし飼うならペットショップかブリーダーから入手かな…と思うようになりました。
理想としては、「ある雨の日、道端でみゃーみゃーと鳴いている仔猫を保護し、そのままウチの子に」というシチュエーションなんですよね。というか昭和生まれの田舎育ちだから近所で血統書つきの高級猫を飼っている家なんぞなく、どこも「竹藪で拾った」「あそこの家で生まれた仔猫をもらった」「いつの間にか住みついていた」という猫ばかりで、猫とはそうやって勝手に湧いてくる生き物だと思っていたのです。
さすがに平成も末、しかもマンションやビルばかりの街中では拾うほど猫は落ちていなくて、外猫を見かけたとしても耳に避妊去勢後の印がある子ばかり。
それで「自分の手で保護した猫と暮らす」という憧れは諦めざるを得なかったわけです。
割り切ってペットショップかブリーダーさんから購入すると決めても、これはこれで難しいものがありました。
どの子も可愛いんだけど、ワタシが飼う必然性があるのかというと疑問です。
「可愛いなあ。でも生き物を飼うって大変よねえ。生活が変わっちゃうし、お金もかかるし。そういうのを覚悟してまでこの子と暮らせるかというと、そりゃ可愛いけど、ねえ」と躊躇ってしまいます。
更に、ブリーダーさんにいろいろ話を聞いていると、可愛い子って凄まじいスピードで売約済みになると知って驚愕しました。
ブリーダーさんのお宅で生後2カ月に満たないくらいのブリティッシュショートヘアを見せてもらいに行ったとき、6頭のうち4頭は行き先が既に決定済み。残り2頭も検討中。
可愛い番だと「妊娠したら教えてくださいね」くらいのスピード感で交渉が始まるようで、漫然と「可愛い子と出会わないかな〜」と探しているだけではなかなか出会いがないと知りました。
一方でペットショップで売れ残っちゃう子もいるわけで、犬猫の世界も厳しいものだなあ…と、ちょっと切なくなったものです。
そんなカンジで数年間、「猫との暮らしに憧れるけど、難しいよねえ」と、なんとなく過ごしていました。
それが、5年前のある晴れた休日の朝。
目が覚めた瞬間、唐突に「そうだ、今日はペットショップで猫を見よう」と思い立ち、大型ペットショップが入っているショッピングモールへ出かけたのです。
そのペットショップは以前から度々覗いていて、常に数頭の仔猫がいることを把握していました。
たまに抱っこさせてもらって、ちっちゃくて柔らかくてふわふわね〜可愛いね〜と楽しませてもらい、その日もそれだけのつもりだったのです。
猫のケージを見ると、ブリティッシュショートヘアの男の子がいました。
頭のブチが綺麗なハチワレではなく、斜め前髪になっていてブラックジャックみたいな顔になっています。
柄は個性的だけと顔立ちは可愛らしく、何よりブリショのような大型猫に憧れていたのでその子をじーっと見ていると、店員さんに「抱っこしますか?」と声をかけられました。
さすが大型猫のオス、ちょうど生後2カ月くらいでしたが大きめの身体で、前足ががっしりしています。
できればライオンの子どもくらいがっしりしている猫がいいと思っているワタシには好ましいがっしり感です。
抱っこすると、その子はおとなしく抱かれて、ワタシが着ていたパーカーの紐で遊び始めました。
その遊び方が何とも鈍くさいというか、爪を出さずにぽすぽすぽすっとマイルドな猫パンチの連打でした。
初めての猫ならこれくらいおっとりしている子の方がいいなあ。と、ひたすらぽすぽすやっている仔猫を見て思ったものです。
んで、その後はペットショップでのお約束。
「飼いたいけどひとり暮らしだからちゃんと世話できるか心配なんですよー」「えー、大丈夫ですよー、私もひとりだけど犬と猫がいますよー」と店員さんとの押し問答。
ワタシを接客してくれた店員さんは新人さんらしく、後ろでずっと店長が見守っているのが気になりますが、それより気になるのは膝の上の猫です。ずっと紐やファスナーの引き手相手にぽすぽすやっています。よく飽きないなーと感心するくらいぽすぽすし続けていました。
しばらくするとさすがに飽きたのか膝の上で向きを変え、ワタシの腕をがっつりつかんでぺろぺろと舐め始めました。
これ、かなりキュンとしました…!
犬は飼い犬でも初対面の子でも割とぐいぐい舐めてくれるけど、猫はそういうことはしないものだと思ってた。
今まで抱っこさせてもらった仔猫は、ワタシに興味関心がない風にキョロキョロするかワタシの目をひたすらじーっと覗き込むかだったので、腕を舐めてくれる子は初めてでときめきました。
「きゃー、可愛い…!」と見守っていると、仔猫はいつまでも舐めてきます。…同じ場所を、ひたすら、手加減せず舐めてきます。
仔猫のざらっざらの舌で同じ場所をザリザリやられるわけですから、ワタシの腕は赤くなってしまいました。
このぺろぺろ魔のおっとりさんとなら、上手くやっていけるかもしれない。
とは思いましたが、さすがに「じゃあ買います」とは即決できません。
ぐずぐす悩んでいるうちに、「ほかのお客さんがこの子を見たいというので…」とやんわり取り上げられました。
未練がましく柱の影からブリショの仔猫を見守っていると、爽やか好青年が抱っこしています。
ああ、彼なら幸せにしてくれそう。
きっと、ああいう清潔感漂うステキな男子の部屋は、ちょいとヴィンテージなマンションでカリモクの家具が揃っていたりなんかして、そのオシャレな部屋に大きなブリショが寛いでいたらすっごく絵になっていいじゃない。
なんて妄想を膨らませ、頭を冷やすためにその場を離れたのでした。
ショッピングモール内のレストランでランチを食べましたが、味がさっぱりわかりません。
赤くなった腕を眺めて「あの子可愛かったなあ」と思い出し、いやいや、可愛いだけじゃ飼えないよ、あの好青年が幸せにしてくれるよと思い直し、とアジフライ定食を食べながらずっとさっきのブリショの仔猫のことばかり考えていました。
今まで「可愛いなあ」と思いながら抱っこした仔猫はここまで引きずることがなく、店やブリーダーさん宅から出たら「こればっかりはご縁ということで」とサッパリしていたのです。
やっぱりぺろぺろ親愛攻撃をされると気になるわね…と、赤い腕を眺めて溜息をつきました。
ランチを食べ終わってもさっきの子がまだ気になるので、ペットショップに戻ってしまいました。
するとすぐに先程の店員さんwith店長さんに気づかれ、「やっぱり気になりますよね!」と見抜かれてしまうワタシ。
ブリショの仔猫は別のお客さんが抱っこしているというので「あー、やっぱりさっきの好青年が買うかな。いやでも彼ならきっとあの子を幸せにしてくれるだろうから、それはそれで」と思いつつ店内を見回すと、ブリショを抱っこしていたのは好青年ではありません。
こういっちゃ何だけど、田舎のヤンキー一家的な?
いかにも休日はショッピングモールしか行くとこないでーす的なとでもいいましょうか、だらしない格好をして頭がプリンになっている両親と、躾が行き届いていなさそうなガキ…元気な男兄弟がさっきのブリショとダックスフントの子犬を抱っこしています。
えええええ、そこんちの子になるの!?
しかも犬と一緒に!?
犬猫の前に人間の子どもを何とかしろよってご家庭へ行くの!?
オモチャや洗濯物が散乱し、兄弟喧嘩と母ちゃんの怒鳴り声でがっちゃんがっちゃんになった部屋の隅に、憮然とした顔で小さくなるブリショを想像すると胸が痛くなりました。
さっきのカリモク好青年なら諦めがつくけど、あのヤンキーファミリーの家へ行くくらいならワタシの方が幸せにできるよ…!
「あの子をもう一度抱っこしたいです…!」と店員さんと店長さんに言うと、新人店員さんはホッとした顔で「そうですよね。連れてきますね!」とヤンキーファミリーの元からブリショを連れ戻してくれました。
改めて、ブラックジャック顔の仔猫と対面です。
立て続けに抱っこされて疲れたのか、仔猫はワタシに抱っこされながらうとうとし始めました。
目と耳が弱い子のようで、目脂がついているし、耳の中にも汚れがあります。
あー、ちょっと身体が弱い子かもしれないな。
ブリショの割にはお安めの価格なのも、この綺麗なハチワレじゃない柄と目や耳のせいかもしれない、と合点がいきました。
おとなしい仔猫を抱っこしながら、ペットショップの店員さんに加えてペット用品店の店員さん(生体販売と用品販売でスタッフが別の店なのです)、それに新人店員を見守る店長という大名行列を作って、猫用品やフードの説明を聞きました。
腕の中の仔猫は、小さなおでこを撫でると琥珀色の瞳をちょっとこちらに向け、それからまた安心したように目を閉じます。
ちょっと身体が弱いかもしれないけど、大事に育ててなるべく健康に大きくしてやりたい。
そしていつか爺さんになったらワタシが介護して、ワタシが天国に送り出してやりたい。
そんなことを自然に思い、「ああ、ワタシの運命の猫はこの子かもしれないなあ」と観念しました。
ケージをどのサイズにするか話しているときに仔猫が目を開けたので、「ウチの子になる?」と訊いてみました。
すると、今までひと鳴きもしなかった仔猫が「……ぁん」と小さな声で返事をしたので、人間どもは大盛り上がり。
「あー、そうかそうか、ウチに来るか〜、よしよし」と決意したのでした。
…と、半日以上ショップで迷っていたら、用品の即日配送可能時間が過ぎていました。
当座のトイレとフードくらいならタクシーで持ち帰れるかもしれないけど、それでも結構な荷物になります。
えー、即日は無理かーどうしよっかなーとワタシが迷っていると、店長どころか店のエリアマネージャーが出てきてしまい「私が帰宅ついでにご自宅へすべてお届けしますよ!」という話になりました。
一晩冷静になったら「やっぱキャンセルします」というお客さんがいて、何としても即日売りつけたいんでしょうね。ワタシも一晩悩んだら勇気が萎んで「やめようかな…」となったかもしれません。
悩む人に即日売りつけるというのは褒められた商売には見えませんが、あのときマネージャーがゴリ押ししてくれたおかげで猫生活をスタートするきっかけになったと言えなくもないです。
ペット用品店の店員さんが買ってくれたばかりのネズミのオモチャのタグを切ってくれ、仔猫が入ったキャリーケースに入れてくれました。
仔猫は大勢の店員さんに「バイバイね」「元気でね」と見送られ、きょとんとしています。
その後タクシーに乗せられても物怖じせず、ネズミ相手にずっと格闘していました。
その後、ワタシの部屋に着いても動じる気配は一切なし。
キャリーケースの蓋を開けてやるといそいそと出て、ソファのオットマンに軽々と飛び乗り「おおー、縄張りが一気に広くなったぜ!」とニヤリとしたようにワタシには見えました。
初めての部屋でも食べたり遊んだりウンチをしたりと元気に過ごしている仔猫を眺め、シンプルで愛らしい名前をつけてやり、ついでにブログでは「ブリ男」と呼ぶことにして今に至る。
と、そんなカンジです。
猫用品を揃えながら「ちゃんと幸せにできるか不安だわ…」と店員さんに心情を吐露したとき、「不安に思う人ならきちんと飼えますよ」と慰められました。
きちんと飼えているかどうかアレですが、仔猫時代の血便騒動やたまに目や耳がやられる以外は大病もなく、毎日元気にゴハンをおねだりし、お気楽そうに眠るブリ男を見ると「退屈かもしれないけど、幸せかもしれないね」くらいには思えるようになった。というのがこの5年間でした。
ぺろぺろ魔は相変わらず健在で、添い寝するとご機嫌に引っくり返り、ワタシの腕をガシッとつかんで喉を鳴らしながらぺろぺろしてくれます。
最初会ったときもこうだったなあと懐かしいのと、あのときと違って腕が真っ赤になるような舐め方はしなくなったので大人になったなあとしみじみします。
ブリ男と暮らし始めたときは「どうしてワタシはこの毛玉と生活しているのだろう」と不思議な気分になったものですが、5年も経つと一緒に暮らす大事な家族ですね。
抱っこしようとすると「デカい生き物に捕まるもんかー!」と逃げられたり、大きくなってからは膝の上で寝てくれなくなったり、共に生活する生き物に対してその態度はないじゃない…ということもありますが、ブリさんはブリさんなりに愛情と信頼を抱いていると感じる瞬間も多々あり、まあこんなものよねーと思いながら暮らしています。
その後、ブリ男を買ったペットショップへは、オモチャやフードを買いにときどき訪れています。
特に仔猫時代はカリカリを模索していたこともあって、成分表を見ながら散々悩み、メーカーの営業の人にサンプルをもらいながら話を聞いたりして助けられました。
ワタシの応対をしてくれた店員さんや店長さんはワタシを見かけると声をかけてくれ、ブリ男の写真を見せると「大きくなりましたねー!」と喜んでくれます。そのうち忘れられるかな…と思っていたけど、2人ともほかの店舗に異動するまでワタシが買い物に行く度に「ブリちゃん、元気そうですね!」と一緒に喜んでくれました。
ペットショップってどうかね…と思わないこともないのですが、ブリ男に関してはブリ男の実家みたいなカンジになっていて、これはこれでいいものでした。
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