ブリ男は寡黙な男です。

あまり鳴かず、ワタシに何か訴えたいことがあっても遠くから黙ってじっと見るだけ、みたいなタイプ。
鳴くのは、早朝にワタシを起こすときやケージに閉じ込められたときくらいです。
それでも多彩な鳴き声で、猫ってこんなに色んな声を出せるんだなあと、ブリ男と暮らし始めてから初めて知りました。
猫を飼う前は、いわゆる「にゃー」だの「ミャウミャウ」だので猫は鳴くものだと思っていました。
あとは喧嘩するときの「ふぎゃー!」という叫びね。
自宅に猫がいないと喧嘩くらいでしか鳴き声を聞かないので、そう思っていました。
が、ブリ男が「みゃう」と鳴くことは滅多にありません。
基本ダミ声で、「んあ゛っ」とか「ぅあ゛ゔぉーん」とかです。
猫らしい「にゃー」という声を出すのはケージに入れられて「ここから出せよ〜」と訴える時限定。
最近はケージに入ってもらうのも年に何回もないので、ブリ男の猫らしい声を聞くのはワタシも珍しく、真剣に出せ出せと訴えるブリさんを目の前につい録画してしまいます。
一度、友人の子どもに「うううう〜っ」と犬みたいに唸ったことがあります。
えええ、猫もそんな声が出るんだ。と驚きました。
犬を飼っていたときは、一般的な鳴き声しか聞かなかったような覚えがあります。
嬉しい時はワンワン。
寂しい時はキューンキューン。
怒っている時はウウウウッ。
と、いわゆる犬の鳴き方でした。
なので何となく「動物とは世間一般でいわれているような鳴き声を出すものだ」という風に思っていて、興奮して「うおぉぉおおおわあぁおあん!」と吠えながら走るブリ男を見て「!?」となったのでした。
ブリさんのダミ声を人様に説明するのが難しく、何度も録音をしようかと思いました。
が、ブリ男の声が聞けるのは、ワタシの意識がはっきりしない早朝3時半…。半分眠りながらスマホを操作するのも難しく、頓挫しっぱなしです。
あと、ブリ男が「ふぅわーん」とか鳴くと、ワタシが朦朧としながら「うーん?」と答えるという、何言っとるかさっぱりわからんコール&レスポンスになってしまうので録音を躊躇ってしまうという事情もあります。
さて、ブリさんのダミ声にもすっかり慣れ切っている毎日ですが。
先日、ビックリすることがありました。
それはいつもの「起きろよ」コール。朝3時半のことです。
3時半って…世間では夜中に近いと思うんだけど…ワタシ、今なら豆腐屋やパン屋で仕事できるわ……。
と半分寝た頭でブリさんの「ゔぐぅう」とか「んお゛…」みたいな声を聞いていたのですが。
突然ブリ男が「あっ」と言いました。
かなりはっきりした「あっ」で、一瞬ブリ男の声だとわからず「誰の声!?」と目を開けてしまったほど驚きました。
何だ今の? と思っていたら、またしても「あっ」と鳴くブリさん。そしてまた「あっ」とハッキリ発音するブリさん。
いつもと全然違う発声なので喉でも痛いのかと心配して起きたら、「デカい生き物が起きたからゴハンだー!」とウキウキ尻尾を立てる、いつものブリ男がいました。
ゴハンの準備中や食後は全然鳴かないので、あの「あっ」は何だったんだ…と狐につままれたような気分です。
その後はいつもの「ん゛にぉーぅ」とか「ぎゃっ」とかダミ声しか出しませんでしたが、数日後の夕方ダミ声の合間にはっきり「あっ」と言ったときがあったので、あれはやっぱりブリ男の声だったらしいです。
なんだか気まぐれに「あっ」と言ってみたら上手い具合にデカい生き物が起きて、その後ちょっと再現してみた。みたいなカンジなんですかね。
てな話を猫を飼っていたことのある知人に話したら、「ブリちゃん、猫語が喋れないんじゃない?」と言われました。
あー…。確かに生後2カ月という赤ん坊に毛の生えたような月齢で親きょうだいと引き離されて、その後はデカい生き物に一方的に話しかけられる日々が続き、猫を見かけるのは年に数回動物病院の待合室という生き方なので、ほかの猫がどんな風に鳴くかなんて意識しないのかもしれません。
ワタシの「まー、ブリさんったら今日も可愛いふわふわさんですねえ。丸顔の天使ちゃんですねえ。ブリさんはお母さんの宝物ですよー」みたいなのが生き物の鳴き方だと思っているのかも。
突然新しい発声に目覚めるのを繰り返して、あと十数年生きたら「ゴハンくれー!」くらいは余裕で喋れる猫又になるのかもね。
なんて想像して、ちょっと面白かったのでした。
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