まだ暑いのにコートの話をするなんてバカじゃないの。
ってカンジですが、素敵なコートを本気で入手したいなら、買うのは今です。
というのも、コート魔は新作発売と同時に買うから。
寒くなって普通の人が「そろそろコートでも」と店に赴く頃には、めぼしいモノはコート魔が買い漁った後なのです。
かく言うワタシも昔は春夏のうちから雑誌やコレクションで新作コートをチェックせずにはいられないコート魔でした。
一度、MAX&Co.のポスターのコートに一目惚れしたことがあります(若い頃だから許して)。
こっくりしたイエローのミドル丈。
細身のすっきりしたスタンドカラーのコートで、襟や袖のディテールがキュート。
甘辛テイストが程良くミックスされていて、とても使いやすそうでした。
んで9月に入って各店に問い合わせたのですが、在庫がない!
「ポスターに載るとね~、人気なんですよね~」とどこの店でも言われました。
その年は海外旅行によく行っていたので香港とかでも探したのですが、やはりない。冬に入った頃、ようやく「ご縁がなかったのね」と諦めました……。
後日談ですが、翌年イタリアに行ったときにアウトレットで件のコートに出会いました。
着てみたらやっぱり可愛い! …のですが、手触りがイマイチ。
アジアの定価に比べたら笑っちゃうくらいのお値段だったけど、この手触りじゃすぐに飽きるだろうなーと思って買いませんでした。
教訓:
- 若い子向けのブランドの品質はそれなり
- 写真だけで服を買うな
- いいコートが欲しければイタリアに行け
コートのためだけにイタリアに行けっつーのもあまり現実的ではありませんが、ワタシのクローゼットに残ったコートは欧州製です。
カシミヤのロングコートとムートンコートはイタリア。
トレンチコートはイギリス。
ダウンコートはフランス。
たまたまワタシが欧州人、特にイタリア人と体型が近いというのと、品質・デザインで篩にかけたらこんな結果になりました。
さて、コート魔を20年近くやったワタシが考える最強のコートとは次の通りです。
黒のカシミヤのロングコート
ビジネスシーンでもお悔みの席でも使える黒のコートは大人のオンナの必須アイテムです。
きちんとした場に安っぽい仕立て、中途半端な色、ダサいデザインのコートで行ったら、すべてが台無し。
参考:女性の喪服の基本 ~オトナは正しく喪服を着こなすべし~
黒のカシミヤは可能な限りお高いモノを買っといた方がよろしいです。
なぜなら一口にカシミヤといっても産地やメーカーで手触りと艶が全然異なるし、黒はシビアな色なのでうっとりするほど深い発色の生地を選ばないと安っぽくなる。
グレーのウールのコートなら「その辺のをテキトーに買っとけば」と言えるけど、きちんとした場で着るためのコートなら可能な限り諭吉を動員した方がいいです。
そして、デザインはなるべく流行と関係ないものを選びましょう。
いかにも今年っぽいシルエットのものは来年使えなくなります。せっかく良いコートを買うなら長年着たいですもんね。
襟や袖の形、身頃の太さ、丈の長さ、すてべのディテールが「長年着られてきた無難なデザイン」となっているコートを選ぶのがいい。
過剰な装飾も不要。キュートなボタンとか論外です。
無難なだけのコートはややもするとオバさんくさくて面白くないですが、なに、実際にオバさんになってみるとオバさんくさいアイテムというのは意外といいものです。シンプルで普遍的なデザインであれば「オバさんくさい」よりも「上品なマダム風」に仕上がりますよ。
参考:I Love フェラガモ!
それから、下にジャケットを着ることを想定して、細身過ぎるデザインは避けた方がいいです。
肩や袖や身頃がパツパツだと着る気になれませんからね。
かといってゆったり過ぎるデザインだと流行に左右されるし、程良いサイズ感のコートってのは案外すぐには見つからないものです。
丈はふくらはぎを隠す程度が足首の細さを強調できて上品ですが、小柄な人は膝が隠れるくらいのミドル丈の方がバランスが取りやすいと思われます。
ちっちゃい子がずるずると長いのを着ているのを見ると不安になる…。
ざぶざぶ丸洗いできるダウンコート
黒のカシミヤロングでは雪がどっかんどっかん降るような寒いときには物足りないので、マジで防寒できるダウンコートも必要です。
なんてことは30歳を過ぎるまで考えたこともなかったのですが、寒さが骨身に沁みる年頃になって初めてダウンを着たら暖か過ぎて衝撃を受けました。
カシミヤコートと違って改まったシーンで使うことを想定していないので、主目的は防寒です。
首も袖も詰まって、身頃がスカスカしてなくて、顔の大半を隠すフード付きで(ワタシは帽子が似合わないから持っていないのです)、ダウンがたっぷり入っていて、軽いモノ。
となるとアウトドアブランドのモノが適合します。なので登山用品メーカーのタウンユース向けデザインを買うことが多いです。
ダウンコートは自宅で洗濯乾燥ができるので、あまり高価なモノは買わないようにしています。自宅で雑に洗うとどうしても生地が傷むのでね。傷んだら躊躇なく買い替えられる程度の価格帯からチョイスします。。
そして洗えるようにファーや革の部分は取り外せるモノを選んでいます。
なんて言っていると意外と選択の余地がなく、毎シーズンAIGLEの店頭を覗いて気に入ったコートがあれば買うってカンジになっています。
さほど防寒力を求めないのであれば、ユニクロのダウンコートでいいんじゃないですかね。あれなら心置きなくザブザブ洗えますもんね。
街中で人と被りまくるのがアレですけどね。
ベージュのトレンチコート
黒でも赤でもいいんだけど、春先でも着られるように軽い色の方が無難です。
それならライトグレーという手もありますが、ライトグレーって秋に着ると寒々しいんですよね。
参考:[ミニマムワードローブ]秋のコーディネートはこれだ!
トレンチコートはド定番のアイテムなだけに、各メーカーから毎シーズン出ます。
本気で買うなら目についたトレンチは片っ端から試着することをオススメします。
ワタシは長年「トレンチかー。ド定番過ぎかなー」と買わずにいたのですが(安物ぺらぺらトレンチは一応持っていた)、いざ買ってみると便利過ぎて「なぜ何年も買わずにいたんだ!」と後悔しました。
数シーズン試着しまくって、結局買ったのは今は亡きバーバリーのブラックレーベル。
普通のバーバリーはさすがイギリスなだけあってちょいダサめなのですが、ブラックレーベルはほんのり尖がっていてそこが気に入りました。
襟の立ち上がりとかコンパクトなシルエットとかカッコいいし、そのくせステッチが凝っていたりして素敵なんですよ。
ワタシが着ているパリッパリの生地は今どきの流行ではないけれど、あまりテロテロしたデザインもそのうち「あの頃流行ったね」となること請け合いです。
ド定番アイテムはあまり流行を追わず、ほどほどのデザインの方が無難。
以上3着のほかに持っているコートはムートンコート。
こちらは完全に 趣 味 です。
イタリアの何ちゃら地方で育った生後何カ月の子羊から作ったという代物で、めちゃくちゃ柔らかくて暖かい。そして高い。イタリア旅行ができるくらい高い。
ゴージャスなんだけどシンプルなシルエットで、都会のマダムがハイヒールのブーツと合わせて闊歩するのにイイ! という雰囲気。
ないと死ぬアイテムというわけではないけれど、コート魔だったときの名残としてこんなのが1着くらいあってもよいのではないでしょうか。
ではコート魔を卒業した現在、もうこんなコートは着ないわーと思うコートはどういうものかと言いますとね。
白のコート
白のコートはオススメです。
冬はどうしても皆暗い色の服を着るので、パッと華やかになります。
が、若い子が華やかになるのは結構だけど四十路のババアが目立ってもなーと思って今は着ていません。
派手な色柄や特徴的なデザインのコート
ド派手なコートは好きなんだけど、毎日同じ電車に乗って通勤していると「またあの変なコートの人だ」と悪目立ちするので何シーズンも着られません。
なので衣装が必要な仕事をしている友人に譲ってしまいました。
40代くらいって派手な服がどうも似合わないんですよね。
赤とピンクの花柄ワンピに乗ってる顔がシミシワだらけ、なんていうのはちぐはぐなカンジがして。同様に派手な色のメイクもしなくなってしまいました。
60代になって肌も髪も枯れ切ったら、またド派手コートに回帰しようと考えています。
ピーコートやダッフルコート
キュート過ぎて着なくなってしまいました。
あと、ワタシの服のテイストに合わせづらい。
平日オフィス服には合わないし、休日カジュアル服だとカジュアルになり過ぎて手抜き感満載になってしまう。
今からのコートシーズン、大いに楽しみましょう!