[ファッション]流行カラーとの付き合い方

この春の流行カラーを見ると、曖昧な色が多いように感じます。

Fashion

ペールトーンが多用されているとかそういう意味の曖昧な色ではなく、色幅の広いカラーが推されている印象。
ベージュだのスモーキーピンクだの曖昧な色は、自分の肌やほかのアイテムとのバランスを取らないとちぐはぐになってしまいます。だから地味なようでいて実はとても難しい色です。

その一方で「イエローのシューズにピンクのバッグ」みたいなカラーonカラーもよく見かける。これまたチョイスを誤るとダサくなるという小難しい流行です。

こういう小難しいカラーが推されているのを見ると「買ってみたものの上手く使えなくて、新たなアイテムを買い直させる作戦なんですね」とアパレル業界の必死さを見たような薄ら寒い気分になります。

アパレル業界が儲かっていた頃は、流行カラーというのは実に単純なものでした。

遡ることン十年前、バブルが弾けたかどうかって頃に黒が流行ったことがあります。

どれくらいの流行っぷりだったかというと、街も電車の中も黒ばっかり。雑誌を見ても黒一色。
十代の若い孫達が揃って黒を着ているのを見て、ワタシの祖母が「景気が悪いんだねえ」としみじみと呟いたのをよく覚えています。

どうやら「黒が流行るときは景気が悪い」という風説があるらしい。
気分が暗いから黒を着たくなるのか、黒を着たくなるような気分だと景気が落ちるのか、因果関係はよくわかりませんが、40年生きていると「確かに景気が良いときには黒って大流行しないよな」と感じます。
1929年の世界大恐慌も戦後の高度経済成長期も経験した祖母からしてみたら、ワタシより顕著に景気と流行色との相関を実感していたのでしょう。

閑話休題。

黒みたいな無難が色が大流行すると、それはもうラクです。

黒さえ着てりゃ今っぽくてオシャレになるんですもの。
ベージュみたいに「黄色が強過ぎて自分の肌には合わなかった」みたいな失敗もないし、合わせづらい色は少ないし、ホントにラク。

当時はファッションの指向が今ほど多様化していなくて、大流行となると猫も杓子も同じ格好をしていました。
だから店頭には黒のアイテムがどっさり並ぶ。選択肢がたくさんあれば自分の体型や好みに合致したモノが何かしら見つかる可能性が高まるわけで、買い物もラクチンでした。
参考:ミニマムワードローブのための買い物ルール

とはいえ、流行カラーが一本化されているのは、ラクなことばかりでもありません。

黒の大流行の直後、今度はブラウン旋風が巻き起こりました。

黒は重い! 黒はのっぺりしている! 黒はもう古い!
ブラウンの優しげで上品な魅力を取り入れよう!

と、ファッション雑誌が掌を盛大に引っくり返し、怒涛のブラウン推しに転換。
皆、黒のコートはクローゼットの奥に押し込み、ブラウンのコートをお買い上げ。
ニットもブラウン、ブーツもブラウンと、ブラウンまみれになりました。
もちろん店にもブラウンやブラウンに合わせやすい色(アイボリーやベージュなど)が並びます。

さて、困った。
いくらブラウンが正義のシーズンでも、黒のアイテムだって買いたいときがあるのですよ。

数年前は、例えば黒のタートルネックのニットを買いたいと思ったら、ハイゲージからローゲージから、丈の長いものから短いものから、ボタンやレースが付いたカワイイものからシンプルなものから、いくらでも選択肢はあったわけです。
それがブラウンに押されてブラックが陳列棚の片隅に追いやられ、好みのデザインが見つからないという事態に陥りました。

そのときのトラウマのせいで、その後しばらく「定番色が流行ったら、その色のアイテムをどっさり買い足す」という変なクセがつきました。
黒ならいくら流行ってなくても毎年見かけるけど、ブラウンとかはオワコン扱いされると本当に店頭から消えてしまったんです。
最近は単色がアホみたいに流行るということがないので「流行っているうちに買い足そう」とは思わないけど、カーキのように好きな色が推されると「買い物のチャーンス☆」と張り切ってしまいます。
参考:40代オトナ女子のワードローブ 総集編!

今みたいにこれといった流行カラーがないのは、似合わない色を着る必要もなく、好きな色をオワコン扱いされることもなく、いい時代だなあと思います。
その一方で、それさえ着ていればオシャレに気を遣っていた感が出た時代が懐かしかったりもします。
あまりオシャレじゃない人間にとっては、わかりやすい流行があるってありがたかったんだなあ。

インテリアの色

投稿者:

りんむじんづ

20代で購入したマンションは、無事にローンを完済したかと思ったら売り払い、30代でまたまたマンションを買いました。好物はマンションの間取り図。旅とグルメにも目がありません。ブリティッシュショートヘアの男子(ブリ男)との同居を始め、ますます極楽な生活を送っています。

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