ブリ男が小康状態なのをいいことに、週末は遊びに出かけました。
ダブル台風にもめげず、出かけた先は名古屋城界隈です。
目的地のひとつはこちら。

名古屋能楽堂です。
名古屋能楽堂へ来たのはン十年ぶりです。柿落としのときに来て、その後に一度くらい来たっけなー…くらい。
一度は金曜の仕事帰りか何かに能を観に来て、あまりの気持ちよさにウトウトとし、贅沢だな…と思ったような記憶があります。
そのとき観た演目が何だったかも思い出せない程度の浅さなのに、なぜ今回張り切って名古屋能楽堂へ来たかというと。

じゃーん!
日出処の天子ですよ!
原作の漫画も好きだし、野村萬斎も好きだし、はー東京はいいわねえ羨ましい、と指を咥えて眺めていたわけですが、なんと大阪や札幌、名古屋でも公演するというではないですか! 鼻息荒くチケットの抽選に応募したのでした。
しかしワタシ、この手の抽選で当たったことがなく、今回も「けっ、どうせ外れるよね」という気分で臨みました。それが良かったのか、珍しく当選です。
抽選結果が来たのが確か昨年末辺りで、当選のお知らせを見て「2025年は腰とか脚とか最悪だったけど、ここで運を使い果たしたのか…!」と思った記憶があります。
運を使い果たしたのは2025年のものだったのか、2026年のものだったのか。
ワタシの体調不良ばかりか、ブリ男がリンパ腫にかかり立て続けに開腹手術をするというこれまた最悪な2026年前半戦。
「ひょっとしたら能を観ている場合じゃないかも」とギリギリまでハラハラしたのですが、幸いにも最近はブリさんの様子が落ち着いていて、ワタシの仕事中の留守番も危なげなくこなしているので、出掛けることができました。
当日、開場時間がやけに早いので何かと思ったら、グッズ販売に行列するんですね。
野村萬斎目当ても多いのかと想像していたら、周りの会話を聞くに圧倒的に原作漫画好きの人が多い印象でした。グッズも昼の公演だったのに売り切れアイテム続出です(公演2日目とはいえ)。
日出処の天子について語り合える人が数百人規模で集うなんてそうそうない現象でしょうから、なかなかすごい空間だな、と思いました。
肝心の能は、面白かったです!
昔観た古典作品は何言っているかわからない部分も多くて余計に眠くなったのが、新作だと理解できるので眠くなる暇はありませんでした。
しかし、能はハイコンテクスト過ぎるというか、原作を知っていても「おお〜、えらい勢いですっ飛ばしていくな〜」という印象だったので、原作を知らない人には「???」となるかも。事件も人物も美味しいところをピックアップ的なカンジなのです。
古典でろくに知らない題材をこの勢いで飛ばされたら「なるほど、わからん」となって眠くなるのも宜なるかな、と得心でした。
そして、そのすっ飛ばしの中でもラストの肝心なシーンはしっかりじっくりねっとりやってくれたから、原作ファンとしては「ありがとう! ありがとう!!」です。
半世紀くらい生きて改めて能を観ると、これは間と声を楽しむ芸術だな、と思いました。
上述の通りめちゃくちゃハイコンテクストで舞台装置も素っ気ないので、派手な演出が面白いというものではない印象です。
その分、演者の足の運びや首の傾き、太鼓のひと鳴らし、声のひと節、全部が残酷なほどあからさまになる、なかなか緊張感のある空間。
そこにときどきふっと笑いが挿入されるのですが、空気感によってはくすりともならなかったりして、ごまかしの効かない舞台だと思いました。
音もなくゆっくりとシテが歩くのを観る、みたいな芸能、今のタイパ重視な若い子には刺さらないんだろうな…と、ちょっと淋しくなったりして。
その中で、野村萬斎はやはり異彩を放っていて、つくづく凄い役者だなあと惚れ直しました。
ワタシが野村萬斎好きになったのは朝ドラ「あぐり」のときですから、奇しくも名古屋能楽堂のオープンと同時期です。
シュッとした姿と特徴のある声が萌えポイントだったところ、「のぼうの城」でゾクッとするほどの眼力に惚れ直し。
また今回、それを生で観られたことで一層惚れ直しました。「あのシーン、絶対萬斎と目が合っていたよね!!!」とアイドルのライブ状態です。
あの人そろそろ還暦のはずなのに、頭に花飾りをつけた美少年役を楚々とこなして無理がないから、凄まじい体幹です。
そして張り上げた声のみならず囁き声も能楽堂に響き渡るから、これまた凄い。
そういう、印象深い声がキーとなる芸能なので、今回の日出処の天子では「ははあ、これは能じゃないとなかなかできない演出だわね」というシーンがあって、ものすごく興味深かったです。
山岸凉子の漫画はそれだけで充分怖いのに、それに声や楽器がつくとゾッとする度合いが何倍にもなる。
とりわけ疫神のシーンは本当に人ならぬものを見るような気分になって、ここだけでも観た甲斐があったと思わされる演出でした。
と、日出処の天子を堪能した後は、すぐさま移動です。
向かう先はこちら!

前回はランチを楽しみましたが。
参考:豪華絢爛エスパシオ 名古屋キャッスルで、素敵ランチを堪能!
今回のお目当ては。

バーキャッスルでのアフタヌーンティーです!
キャッスルのアフヌン、なかなか…なお値段なのですが、能で異世界を楽しんだ後に堪能するには相応しかろう、ということで予約を取りました。
数日前、予約確認の電話が入りました。ちゃんとした店はこういうところがきちんとしていていいわね。
時間や人数を確認された後、なんだか申し訳なさそうに「あの、予約された時点ではメニューは蜂蜜だったかと存じますが、6月に入ってメニューが変更になってまして…」とスタッフが言うではないですか。
何かと思ったらピスタチオやシトロンなど初夏を感じさせる食材メインなんですって。なんだ、そんなのウェルカムですとも。
ピスタチオもシトロンも好物なので全然オッケーっす、と返事しつつ「当日は直前まで能楽堂で能を観ているから、ギリギリになるかも、なんならちょっと遅れるかも」と伝えて電話を切ったのでした。
案の定? 能が終わった時点でアフタヌーンティーの予約時間を過ぎていまして、15分ほど遅刻して店に辿り着いたのでした。
しかしさすがキャッスル、連絡がしっかり行き届いていたようで「お待ちしていました」とにこやかに迎え入れてくれ、ウェルカムドリンクの抹茶やクッキーを用意しながら「この天気の中、能楽堂から急いでご移動いただいたとのことで」とかえって恐縮されてしまうほど。
美味しいクッキーや抹茶、ジンジャーとパイナップルのジュースなどを堪能しつつ、ちゃんとした店は気持ちいいわねえ、としみじみしたのでした。
近くのテーブルが子連れで「ファミレスや個室ならともかく、ここに幼児連れか…」とちょっと心配していて、案の定飽きた子が騒ぎ出したのですが、そのタイミングでスタッフがすかさずベランダへ連れ出す提案をしたりクレヨンを持ってきたりとお子の気を逸らし、お子がウロチョロし始めるとそっと後ろに回って周りのテーブルにぶつからないように気を回しと、完璧な対応でした。
店内は5席ほどと客数は少なく、一方で気の利くスタッフが何人もいます。この客数でこの充実した質のスタッフ数だと、いくらお高いアフヌンでもいくらも利益は出ないかと思われました。
サービスもいいけど、味もいい!!!

ピスタチオのムース、チェリーとチョコのタルト、杏のブラマンジェ、フルーツゼリー、カカオのムース、シトロンのタルトと、濃厚に甘いモノからサッパリスッキリの味わいと幅広い。
そして、セイボリーの完熟フルーツトマトのカッペリーニも美味しかったけど、自家製マリネが最高なんだな!! 甘さに疲れた口にちょこちょこと運んでリセットできて、アフヌンのセイボリーの正解を見た気がしました。

スコーンは八丁味噌と全粒粉のプレーン。
味噌の方は食べた瞬間は味噌っぽくないけど、噛み締めると甘みが出ます。
全粒粉はザクザクとした食感と香りが素晴らしい。
どちらもそのまま食べても美味しいけど、レモンジャムも美味しかった。
ドリンクの種類も豊富で、茶葉の香りを片っ端から嗅がせてもらえるので「次はこれを飲みたい。あー、でもこれも気になる」と紅茶好きにはたまりません。
しかもポットでも頼めるしカップでも頼めるので、いろんな種類を試せます。
アフタヌーンティーって紅茶をひと種類しか頼めなかったりポットを飲み切ってからしかおかわりできなかったりと制限のある店も少なくない中、この大盤振る舞いっぷりは好印象でした。
帰り際には焼き立てクッキーのお土産もついて、この窓からの風景と食べ物・飲み物の充実っぷり、そしてこのホスピタリティと揃っていたら、全然高くない、むしろお得じゃない!? ってくらい楽しめました。
ちょっと豪華絢爛過ぎやしないかね…と感じた金ピカ内装も、豪雨の薄暗い中で見るとほどほどに派手やかで、ケバいだけの華やかさではないのね、と前回とは印象が変わりました。
いやー、いい1日でした。
これもブリさんが落ち着いていてくれているおかげです。
帰宅すると「いいモノ食べただろ!?」と口をすんすんすんすん嗅がれました。
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