有能な人間は、物事の先々を読み、それに応じて行動を変容するかと存じます。
そういう点ではブリ男は非常に有能です。人間じゃなくて猫だけど。
猫というのはとても習慣性の高い動物で、かつ自分に都合がいいことは一発で覚えますね。
ワタシも「やることをコロコロ変えていたらブリ男が戸惑うだろう」と毎日同じような行動を取るようにしているので、余計にブリ男の習慣・認識が強化されているように思います。
ブリ男の習慣のひとつに、ワタシの風呂上がりにキッチンで水遊びをするというものがあります。
何かというと、入浴中に回していた食洗機の中の食器を片づけつつ風呂上がりの水を一杯やる、という合間に、蛇口から出る流水を眺めたりパンチしたりするのがブリさんのお楽しみになっているのです。
猫はちょろちょろ流れる水が好きと聞くけれど、ブリ男はどちらかというとだばだばと勢いよく流れる水が好き。
ブリ男が蛇口に注目する中、そっと水を流し、徐々に蛇口を開いて、そして全開にしてだばだばと流す。するとブリさんは目を真っ黒にして水に向かってパンチを繰り出します。
ずっと全開では水道代がアレなので程々のところで止めるのですが、そうするとブリ男はハンドルを鼻でツンツンと触って「水出せよ」と要求してきます。
仕方ないので、ちょろちょろ流して期待を持たせてからのだばーを繰り返す、というのが毎晩のお約束となっています。
そもそもワタシの風呂上りにはゴハンをもらえるスケジュールになっているので、ワタシが風呂から出ると洗面所まで迎えに来るブリ男さん。
尻尾をピーンと立てて、さっきまで寝ていたから伸びをしつつ、のしのしと歩いてきます。気が早いときはワタシが風呂掃除をしている段階から洗面所にちょこんと座っているときもあります。
ゴハンをもらってからは、洗濯物を干したり髪を乾かしたりしているワタシを観察して、洗面所やクローゼット部屋をウロウロする。というのがブリ男の行動でした。
ところが、しばらく前からウロウロするブリ男を見かけなくなりました。
洗面所の掃除を終えてクローゼット部屋を覗くと、クローゼットの中を冒険しようと待ち構えていることが多かったのに、ブリさんがいない。
部屋の中をチラッと見ても、椅子の上にもケージの上にもいない。
アイツどこに行ったんだ…? とキッチンを見ると「早よ水出せよ」と渋い顔してブリ男が待っていました。
そんなに好きな水遊びですが、シャワーは苦手です。
蛇口をシャワーに切り替えてザーッと流しても、ドン引きの顔して眺めるだけ。
パンチしたり噛んだりするのはストレートでだばだば流すときだけです。なぜだ。
もうひとつ、最近変わった行動がありました。
朝は3時半、ヘタしたら3時頃から起こしてくる容赦のないブリ男ですが、消灯からその時間にかけては静かにしているという美点があります。
稀に真夜中に起こしてくることもなくはないけど、滅多にない。
ときどき運動会したり甘えてふみふみしまくるときもあるけど、デカい生き物を起こしてやろうという意図はないようで、アイツは夜中はぐーぐー寝ていると理解しているっぽいです。
なのでたまにワタシが夜中にトイレに起きたりすると「えっ、なにごとなにごと」と寝惚けた顔をして見てきます。
困ったことに、ブリ男はワタシがトイレから戻ったらオヤツをもらえると勘違いしています。
何がきっかけでそう思い込んだのかなあ。確かに帰宅直後とか風呂上りとか部屋に戻ったタイミングでゴハンを出すことは多いかもしれんけど、毎回あげるとは言ってないぞ。
と言い聞かせてもブリ男に通じるはずもなく、トイレから出ると目をキラキラさせたブリ男がドアの前で待っていて、尻尾をピーンと立てて「さあ、ついて来い!」と皿があるケージまで誘導してくれます。
体調が悪くて夜中起きたときなんかは「お、おう…」となります…。
んで先日。
夜中というか寝入り端に「寝る前に水を飲み過ぎたかなー。もう一度トイレに行っておくか」と思い立ち、「なにごとなにごと」という顔をしたブリさんに「お母さんはシーしてくるだけですよ」と声をかけてトイレに行きました。
用を足してトイレのドアを開けると、ブリさんがいません。
あれっ、珍しい。トイレ後のおねだりはやめたのかな。
と部屋に戻ると、お迎えを端折って皿の前で万全待機の状態でした…。
そういえば、こないだ夜中に起きたときは「ないよ。あーとーで」と言い聞かせてオヤツをあげなかったっけ。
お迎えでは生ぬるい! もっと確実に訴えねば! と行動を変えたようです。賢いねえ…。