半年前の記事を読むと「ずいぶん猫に気を遣っているな」と我ながら苦笑します。
猫を飼うにあたって心配していたことのひとつが「ワタシに懐かなくて、お互いに距離を保った緊張感のある関係になったらどうしよう」ということでした。
広い家屋なら家庭内野良猫がウロウロしていても別にいいんだろうけど、狭い部屋の中でピリピリするのはワタシにも猫にもストレスです。
ブリ男がウチに来た当初は、とにかくワタシはイヤな存在ではないと思ってもらうにはどうしたらいいかということに気を配っていました。
大きな声は出さない。変な動きはしない。遊びたがるときに遊んでやり、構い過ぎない。
実際、最初は抱っこ大好きのベタベタ猫だったのが、目薬を機に「デカい生き物には捕まらんぞー!」と脱兎のごとく逃げるようになったブリ男。
爪切りや目ヤニ取りなんかはブリ男が眠かったりご機嫌だったりする隙を狙ってやらざるをえず、それなりに神経が磨り減りました。
ブリ男がはっきりと「デカい生き物、しゅきしゅき!」という態度を取るようになってからは、かなり無遠慮にやっています。
朝は食後の洗顔が終わったら捕獲。歯磨きや爪切りなどのグルーミングタイムです。
口を引き結んで決して開けないという嫌がり方はもうしませんが、歯磨きはやっぱり嫌いで、歯磨きシートを取り出すと耳を寝かしています。
参考:猫のオーラルケア
爪切りに至っては、爪切り鋏を持ったワタシの手を両前足でぽすぽすぽすぽすっと連打して、何とか押し戻そうと努力しています。
そんなブリ男の抵抗を無視して「歯キレイキレイしなきゃ美味しいモノが食べられませんよ~」「爪ぱっちんなんてそんなに痛くないでしょ~」と言いながら敢行します。
一通り終わると「デカい生き物の腕にはもう一瞬も居たくない!」と身を捩って逃げるのですが、一旦床に逃げた後はすぐにワタシの目の前のテーブルに戻るのが笑っちゃう。
ワタシにすぐ捕まる距離で「ああ、ひどい目に遭った」とばかりに毛繕いするから「君はそれでいいのか?」と言いたくなります。
猫の飼育本を読むと、テーブルの上に乗るなどやってほしくないことを猫がしたとき、こっそり音を立てたり水をかけたりすると効果的なんて書いてありますね。
猫が嫌がることを人間がやっているとバレると、人間に対して警戒するからダメとかなんとか。
最初はワタシもそれを鵜呑みにしていました。
最近は猫飼育のセオリーを無視して、ブリ男がキッチンの上にある食材や食器を触ろうとするときは「ダメでしょ」と言いながら手を叩いて驚かしています。
ブリ男はビクッと身体を震わせてワタシを振り返り、キッチンからジャンプして逃げていきます。
あとは、皿洗い中に手や顔を出してきたら、これまた「ダメでしょ」と言いながら手をぴっぴっと振ってブリ男の顔に水滴をかけています。
水遊びをするくせに濡れるのはイヤみたいで、「うわあ…」という顔をして壁のある場所まで逃げていく。
手を叩くのも水をかけるのもデカい生き物がキッチンを荒らされて怒っている単なる合図という認識で、「手を叩いて俺を驚かすデカい生き物、嫌い嫌い!」とはならないらしいです。
キッチンを探索したら怒られるというのも自覚はあるらしく、ワタシが消灯した後炊飯器のコードをぱしぱし叩いて遊んでいる。んで、ワタシがガバッと起きて灯りを点けると「やべっ」とばかりにキッチンから降りる。
怒られると理解しているならまあいいか…と、最近はカウンターの隅でイタズラせずに寛いでいる分には許容するようになってしまいました。
↑何をしているかというと、テレビを観ている。なぜそんな遠くから…。
そうそう、構い過ぎると猫は嫌がるというので、ブリ男を過剰に触らないように気をつけていました。
ブリショーは抱っこやなでなでが苦手だというし、実際ブリ男も寛いでいるときにワタシが頬をむにむにすると「触んじゃねーよ」と逃げていきます。
しかし、最近は割と無遠慮に触ってもあまり嫌がらなくなりました。
まったりしているときにむやみに触ると「やめてよ」的に前足で制してくるのは変わらないけど、ワタシの方に注意を向けているときなら割と雑に頭や背中を撫でても嫌がりません。
こういう無遠慮な扱いをしても平気なのは「でもブリ男はデカい生き物のことが好きだもんねー」と言える信頼関係を築けたからこそ。
ブリ男もブリ男で「あんだけ怒ってるけど、でもデカい生き物は俺に首っ丈なんだぜ」と理解していると思われます。
ワタシの二の腕を枕にしてぐーすか寝ている小さな生き物を見る度に、いいパートナーに恵まれたなあと感謝しています。