ワタシが愛してやまない映画のひとつが「スイート・チャリティー」です。
60年代の映画ですから相当古いですね。
真実の愛に憧れるチャリティーが恋に喜んだり泣いたりするお話。
チャリティーはキャバレーの踊り子なんてしているくせにすれたところが全然なくて、そんなにピュアで大丈夫かい? と見ていて心配になっちゃいます。
そのチャリティーのファッションがなかなか興味深いのです。
チャリティーは男に騙されて有り金を巻き上げられちゃうくらいですから、裕福なわけではありません。
映画の中でもずっと同じ服を着ています(これは元々が舞台で、着替えの手間がなくて済むからというのもあると思うけど)。
それは、黒のノースリーブのワンピース。
飾りっ気はないし、特別変わったシルエットでもない、普通のワンピースです。それを高級クラブにもセントラルパークにもピザ屋にも着ていっちゃう。
と書くとチャリティーがすごくセンスがないみたいだけど、そして実際にないとは思うんだけど、TPOに合わせてひとつのワンピを着回している様子がとても可愛いと思えるのです。
例えば、チョイ悪なボーイフレンドのデートのとき。ノースリーブのワンピを1枚着て、二の腕は剥き出しに。ちょっとセクシーな雰囲気です。
例えば、仕事探しに行くとき。夜の仕事だというのを悟られないために、カーディガンを羽織って精一杯落ち着いた風にしています。
例えば、保守的なボーイフレンドに会うとき。ワンピの下に白シャツを重ねて、清楚さをアピールしています。
セクシーならセクシーなアイテムを、清楚なら清楚なアイテムを揃えたくなりますが、1着の服でこれだけイメージに振れ幅があってもいいんだ! と驚いた覚えがあります。
そういえば、「ローマの休日」のアン王女も同じ服を違う雰囲気に見せていましたね。
最初は襟を閉じてきっちりとしていたのに、だんだんと袖をまくったりハンカチーフを首に巻いたり変化させていた。
ほんのちょっとしたスタイリングで王女の開放感を表現できるなんて面白いと思います。
50年代・60年代は今ほど気軽にファッションにお金を使えなかった時代ですから、こういう工夫が余計に活きたのでしょう。
「スイート・チャリティー」の見どころは、衣装だけではありません。
フォッシーの振り付けがめちゃくちゃいいんですよ!
この人は「人の身体を重く見せる」とかダンスの王道の真逆の振り付けを平気でブッ込んできます。それが妙にハマってかっこいい。
そんなフォッシーが「スイート・チャリティー」では監督をやっているから、カメラワークがものすごく面白いです。
インタビューでフォッシーが「舞台はお客さんが見たい場所を好きに選んでくれるけど、映画だとどこを切り取って見せるかというのを決めなきゃいけないのが大変」というようなことを言っていました。
で、結果として切り取った絵がコレか! というチョイスがまた意外性たっぷりで楽しい。これだけあれこれ演出を考えちゃう人なら映画は大変過ぎるよな、舞台の方がラクだよね、と思ってしまいます。
と、ファッションとは関係ない方向性で〆てみました。
[ミニマムワードローブ]服を捨てる基準6カ条
じんづさんこんばんは。
映画評、知らない映画だけと映像を感じました。このシリーズも是非またよろしくお願いしますね。
映画繋がりで旧ブログにコメントしたことあるけど、単純に笑える映画のこと書いてたことありますよね。サボテンブラザーズこれ結構お勧めです。私は頭を空っぽにして笑えましたよ。
古いからもー見つけられなかったらすいません。
まっくサマ
映画シリーズ了解です。
最近はバタバタしていて本も映画もご無沙汰ですが、引越が落ち着いたら再開しまーす。