なぜインテリアにまで流行があるのだろう。
見知らぬ他人にまで見せて回る服装やヘアスタイルなら流行り廃りがあるのはわかる。
パッと見で「自分はこういう人間です」と他人に理解させるのに、ファッションほど有用なものはない。人間の細かい属性を表現するにはド定番のアイテムだけではとても足らず、「今」しか着られないようなとんがった服装ってのも必要だ。
だが、インテリアなんて、超社交的で頻繁に客を呼んでパーティーを開く外交官みたいな人以外は、家族と親戚と親しい友人くらいしか見せないものなのに、なぜ流行があるのか。
と、ひと昔前に流行ったような北欧インテリアの部屋で生活して、不思議な気持ちになっています。
インテリアの流行り廃りは、インターネット環境の発達が要因のひとつのような気がします。
今や普通の主婦もSNSで自分の住まいをどんどん発信し、有名人でもなんでもない一般人の部屋をバンバン見られる時代。
「こんな部屋に住みたいな」「これなら真似できそうだな」と思えるモデルがごろっごろと転がっていて、100均の商品なんかでお手軽に「それっぽい」風にできちゃう時代。
そりゃまあ「インテリアをどうこうしたい」という欲求が強まるわけです。
と思ったのですが、インテリアの流行はもっと昔からありましたね。
ワタシが最初に「これ真似したい!」と思ったのは、カントリー調の部屋でした。赤毛のアンのテイストですね。
パイン材の可愛らしい家具に、ラベンダーのドライフラワー、それにスミレの砂糖漬けが入ったガラスの瓶。
ザ☆昭和な家で育ったワタシが「世の中にはカントリーという世界があるらしい」と気づいたのは、雑誌のせいです。
そうです、「私のカントリー」が戦犯。
当時は雑誌が情報発信源として強大なパワーを持っていました。テレビと違ってゆっくりじっくり何度も眺められる、いい媒体だったのです(実家には長らくビデオデッキなる物がなかったのです)。
雑誌の写真を眺めて「ギンガムチェックのカフェカーテン、可愛いなあ」とうっとりしたものでした。
そして、雑誌通りのインテリアをおいそれとは再現できないと気づいたのもカントリーテイストでした。
コクヨの学習デスクにドライフラワーを飾ったってカントリーにはならないし、蛍光灯のシーリングライトの下に合板のパイン材風チェストを置いてもカントリーにはならない。
床とか壁とか扉とか窓ガラスとか、あらゆるものと格闘して勝利しなければカントリーにはならない。
子どものワタシに一体何ができましょうか。
「インテリアって難しい…」と絶望感を味わいながら、いつの間にか「私のカントリー」を手にすることはなくなったのです。
その後、ワタシのインテリアの好みはカリビアンリゾートだのアジアンモダンだのを経て、今は北欧に落ち着きました。
10年ほど前、北欧インテリアが一大ブームを巻き起こしたとき、ワタシはそこまで北欧テイストを好きだとは思いませんでした。
マリメッコとか色使いが毒々しいわーとか、リサ・ラーソンの置物とかほっこりし過ぎだわーとか、そんな印象です。もうちょっとシャープな方が好きなんですよ。
なので「かもめ食堂」を観ても「アルテックのテーブルとチェア、可愛いね。でもほっこりし過ぎだわ」という感想で、真似しようだなんてとても思わなかった。
それがマンションを買って10年経ち、モダンでシンプルなインテリアを目指していた部屋は壁やドアに汚れが目立つようになってみると、ある程度ほっこりしていた方が経年劣化に耐えうるとようやく気づき。
ホワイトとダークブラウンでシャープに仕上げた(いと思っていた)部屋から、木目をふんだんに取り入れたナチュラル感のある部屋へ転換することを決意し。
そうなると、今や定番中の定番で入手が容易な北欧アイテムを取り入れるのが手っ取り早く。
そんなカンジでワタシの部屋が北欧化してしまいました。
なのでひと昔前の北欧ブームがなければ、ウチは北欧化しなかったかもしれません。
日本でPH5やAJランプやアルテックのテーブルの入手が困難だったら、もっと手軽に買えるアイテムを選んでいたハズ。
北欧アイテムが日本で当たり前のように見られて、これいいねと思う機会があって、購入可能な価格にまで市場がこなれていたからこその北欧化でした。
モロカンスタイルやインダストリアルテイストなんかも「いいね」とは思うけど、ああいうのは一般的なマンションで実現するにはハードルの高いインテリアですよね。
ワタシがン十年前に挫折したカントリー調と同じく、壁やら建具やらと闘わなくてはいけない。新築マンションで窓にアラベスク文様のアイアン格子を埋め込んだり壁をコンクリートの躯体現しに変えたりというのはハードルが高過ぎるので、消去法的にも「無難に北欧テイストにしとくか」みたいな風に落ち着きました。

んで、部屋が北欧だとテーブルウェアも北欧風の方がラクなんですよ。
この部屋に魯山人を合わせるよりはパラティッシの方がしっくりくる。というわけで、食器もすっかり北欧化しています。

参考:【iittala(イッタラ)】ティーマのプレートとウルティマツーレのハイボールが増えました!
もしワタシがすンごい資産家だったら、ヨーロッパの城にモダンな家具を置くとか、とんでもなくモダンな家に洋の東西を問わずアンティークの家具を置くとか、そういうインテリアを目指すと思います。
が、薄給OLが買える狭いマンションで、ちょいとほっこり北欧気分なインテリアなんてのも身の丈に合っていて、嫌いじゃありません。
素人のインテリアを見ていて何が楽しいって、こういう風に「目指す姿はあったハズだけど、やむにやまれぬ事情でこうなっちゃった・センスがアレで気づいたらこうなっちゃっていた」というところです。
ワタシの部屋の場合、明るい木目の床や建具の部屋にできるだけスッキリした家具を置いて、色味も抑えて、ほっこりテイストはほんのスパイス程度にするつもりでした。
が、実際はブリ男が来て常時オモチャが転がっており、保育園みたいな雰囲気になっています。
そして、狭い部屋にはポスターだのランプだのベースだのが増加。

参考:「くりぴたフック壁紙用」でコンクリート壁に額縁を掛ける

参考:[Newアイテム]ルイス・ポールセン AJフロアランプ、なんとあの色をチョイス!
あまり計算せず、自分の好きなテイストなら何とかまとまるだろう、と適当に買い進めました。
その結果、なんだか実家テイストなほっこり感が強くなったような気がします。カッパーのアアルトベースとか、ちょっと懐かしい昭和の風味を感じる…。
てな風に「りんむは何だかんだとザ☆昭和なセンスの部屋に落ち着いちゃうんだね。オバサンのセンスだと古臭い部屋になっちゃうんだね」みたいなことが垣間見えるので、人の部屋を見るのって好きです。
この先、北欧インテリアが「昔流行ったね~。今どきありえないけど」みたいなダサいポジションになったとき。
アルテックのテーブルなんてワタシが生まれる前のデザインじゃん。今更古いとか。と鼻で笑うのか。
それともそのときの流行に乗っかって全然別のテイストに模様替えするのか。
今まで自分のインテリアの趣味も変遷したことを考えると、北欧を投げ捨てる可能性も充分あります。でも、面倒くささが先立って今のまま突っ走る可能性も大きいです。
よくわからん、ということです。
ン十年前にワタシの心を浮き立たせた「私のカントリー」は、21世紀の現在でもカントリーなインテリアを発信しています。そのブレなさはスゴい。
ワタシにも何十年間も「このインテリアが好きだ!」と言い続けられるような芯があればいいのに。
まあ、それがないからこそワタシがワタシたる所以なのですがね。


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