家に帰りたくない理由

休日の昼下がり。
大通りに面したカフェの一角から、行き合う人々をぼんやりと眺める。

街は早々にクリスマスムードになっていて、ショーウィンドウは赤と緑ばかり。店内に流れているのもクリスマスソング。
こんな環境に身を置くと、雑踏すら浮かれているように見えるから不思議。

まだ午後早い時間だけれど、今日の予定はもう済ませた。
整体に行ってバキバキの身体を調整してもらい、冬用のもこもこ靴下を買った。ほかに今日やろうと考えていたことは、ない。
天気がいいから散歩代わりに遠回りして、お気に入りのケーキ屋で焼き菓子でも買って、暖かい部屋で映画でも観ればいい。

…でも、今は家には帰りたくない。

家には可愛い猫が待っているとはわかっている。
こんな場所で薄いコーヒーを啜っている場合じゃないのだ。
でも帰りたくない。

ブリ男に会いたくないわけじゃない。
ワタシが帰れば、彼は大きな目を真ん丸に見開いて、薄く縞模様の入った長い尻尾をぴーんと立てて、ワタシの帰宅を歓迎するだろう。

そして「お腹が空いたーーーーー!!」と猛烈に圧をかけてくるのだ。
…まだ昼過ぎだというのに。

 

ブリ男の腹時計のシステムは、何がどうなってそうなっているのか知らんけど、朝も夕方も3時にお腹が空くようにできているようです。
コロナをきっかけに在宅勤務の日が増えてみると毎日律儀に3時と15時に「そろそろゴハンじゃね!?」と訴えてくるので、そういう生き物なんだなあ…と気づきました。

が、3時ってのは人間にはなかなかツラい時間です。
朝は3時、って朝じゃないよ夜中だよってカンジの時間帯。
夕方も3時、ってオヤツどきかもしれんけど、夕食にはまだまだ早いのに本気で食べたがるので困ったものです。ワタシが留守のときは夕食が18時を回ったりするのに、その日はどうやって堪えているんだか。

さすがにブリ男の腹時計に合わせていたら人間の生活が成り立たないので、ある程度我慢してもらっています。

朝は3時に叩き起こされても狸寝入り。
4時なら起きてやってもいいよ…というつもりでいますが、ブリ男の圧に負けて3時半過ぎには起きてしまいます。
15時過ぎからそわそわしていても無視。
「まだ待って」「あーとーで」と言い聞かせて仕事をするのですが、そわそわはエスカレート。夕方に会議をしていると、お腹が空いたブリ男が「うぅわあおぉああぁおおぅ!」とか叫びながら走り回っています。根負けして16時や17時にはブリ男に夕食を出してやります。

…ええ、朝も夕方もブリ男には一応1時間くらいは我慢してもらっています。1時間だけね。朝は5時くらいまで寝たいんだけどね……。

とまあ、ワタシが家に居る日はある程度ブリさんのお腹事情に合わせて動いてやることができます。
出社しちゃう日は日中オヤツなしでツラいとは思いますが、カリカリ代を稼ぐためだと思って我慢しておくれ。

問題は、休日です。

出掛けなきゃいけないけどそんなに用事もない日、でもスーパーへの買い出しみたいに1時間程度では戻ってこれないような日、なんてのが困ります。
朝家を出て用事を済ませて昼過ぎに帰宅すると、ブリさんは「デカい生き物が長い留守から帰ってきた! てことはゴハンだ!!」と決めつけて、めっちゃワクワクするのです。
「まだブリさんのゴハンには早いからな…」とその辺でウィンドウショッピングしたりカフェでお茶したりして時間を潰すのですが、元来家に引きこもるのが好きなタイプなので、帰れるのに帰らないって何やってんだか…という気分になります。

先日も、もっと時間がかかると見込んでいた用事があっさり終わって、13時過ぎに帰宅できることになりました。

13時かー。今帰ると騒ぐだろうけど、オヤツ出してやったらその後昼寝する程度には落ち着くかな。
と思って帰ってみると「お腹空いた!」と大騒ぎするブリさんがいました。
いや、そりゃ空いてはいるだろうけど、今朝9時半にもオヤツあげたじゃない。そんなこの世の終わりみたいに請求するほど空腹じゃないでしょう…。

ブリさんを宥めるためにオヤツを出し、さて昨日の夜寝落ちした映画の続きでも観るかなとソファに腰を下ろしたら、ブリ男が背後で「ぅあわぁん…」と文句を言っています。
振り向くと「さあ、ゴハンだぜ!」と言いたげにケージに向かってのっしのっしと歩いていく。
「ブリさん、まだないよ。あーとーで」と言うと、驚愕した顔でこっちを見て、不満そうに床でごろんごろんと転がってアピール。

結局その後は昼寝どころか、ずっと「ゴハンゴハン!」とアピールし続けていて、根負けしたワタシは夕食を2回に分けて出す羽目になったのでした…。

不思議なのが、これだけゴハンゴハンとうるさい子が、真夜中は起こしてこないことです。
ワタシが布団に潜って消灯すると(大抵は)文句を言わず、一応3時過ぎまでは寝かせてくれます。
自分も眠いのか、デカい生き物を寝かせてやろうと気を遣っているのかは、よくわかりませんが。

そして、休みの日に朝寝がしたいからと夜中にオヤツを食べさせても、やっぱり3時過ぎには起こしてくるのも不思議です…。

投稿者:

りんむじんづ

20代で購入したマンションは、無事にローンを完済したかと思ったら売り払い、30代でまたまたマンションを買いました。好物はマンションの間取り図。旅とグルメにも目がありません。ブリティッシュショートヘアの男子(ブリ男)との同居を始め、ますます極楽な生活を送っています。

4 thoughts on “家に帰りたくない理由”

  1. こんにちは。
    いつも楽しく拝見しています。ブリ男くんがかわいくて毎回ウキウキ読ませて頂いてます。
    ごはんの催促がちょっとお悩みなのですね。うちにもオスの猫がいます。うちは決まった時間にごはんをあげるスタイルではなく、本人が欲しがった時にあげるやり方なのですが、やっぱり動物だからかこの秋から冬にかけての時期はお腹がすくようでよく食べます。真夜中でもボリボリ食べてます(笑)寒い季節に備えてなのかわかりませんが、そういう体のシステムになっているのではないでしょうか?
    欲しいままにあげていると体重は大丈夫?と心配されると思いますが、不思議とそんなに変化がありません。あげ過ぎはもちろんダメですが、少しブリ男くんのリクエストに応えても大丈夫だと思いますよ。
    りんむじんづさんも「あげちゃダメ!」と固く思って、せっかくのかわいいブリ男くんと過ごす癒しの時間がストレスになってしまうともったいないかなぁと思ってしまい、大きなお世話だとは思いながらもコメントしてしまいました。長々と申し訳ありません。
    これからもお二人のやりとり、楽しみにしています。

    1. ちゃむサマ
      コメントありがとうございます!
      秋冬は、やっぱり督促が激しさを増しますよね〜。
      春夏もかなり食べたがるけれど、今の季節はワタシが起きている間は隙あらば皿の前に行きます。
      カロリーが低い療法食に変えたら給餌量を増やしてもほっそりしたので、今はもう少し増やして、ゴハンタイム以外におねだりされたら2粒ずつあげています。
      オヤツの2粒で納得するときはいいのですが、留守番明けは「がっつりウェットフードタイムだろがぁ!」と荒ぶるのですよ。
      ブリ男におねだりされること自体はストレスではないのですが「こんな小さな生き物も『あとで』と言われたら我慢するのに、ワタシは野放図に食べて…」と自己嫌悪に陥るのがストレスかもしれません笑
      今後ともよろしくお願いいたします!

  2. こんばんわ。

    ご飯の催促・・冬は早くなりました。
    なんでしょうね・・動物の腹時計は。
    私は・・時間というより・・明るさ?と思ったりします。

    夏場は日が長いので、夜は7時過ぎ・・朝は4時前・・
    冬場は日が短いので、夜は6時前・・朝は6時前後・・
    でも、オヤツの時間は一貫して、お昼の2時。
    これは、私が仕事から帰ってくる時間です。

    一泊で旅行行ったり、所用で一日朝から夜まで家を空ける時。
    旅行の場合は、朝と夜、息子っちがご飯上げてくれてます。
    でも、息子っちの仕事の都合なので、、オヤツは無し。
    所用で出かけてる時も同じ感じ・・
    私が家にいる場合は、一日中・ご飯の催促です。笑笑

    冬場の食欲増進・・凄まじいです。
    安定の8・5キロ前後の巨猫・・それにロングヘアなので、10キロ超級に見えます。
    ご飯の好き嫌いはなし。(小粒のカリカリは嫌い)
    なので不味かろうがカロリーダウンのカリカリです。(大粒)

    鬼ごっこが大好きで、夜寝る前の儀式・・鬼ごっこ。
    私が鬼て、ニャンコが私を追いかける・・
    こっちも、息切れするけど、猫も息切れ・・笑
    私は、こっちが憂鬱

    1. まだむサマ
      おお~、日の長さによって調整してくれるんですね。
      冬の朝に6時まで待ってくれるとは、羨ましい…。
      夏至でも冬至でもお構いなしに3時半に起こしてくるブリ男って…。
      食欲も、夏も冬も関係なくハイレベルで維持しています笑。

      あー、鬼ごっこ、やりますよね!
      うちも必ずワタシが鬼です。
      ブリさんの場合は寝る前ではなく食後、ワタシがキッチンで片付けしていると陰からじーっと見てきて、ちょっかいをかけるとポーンと跳んで小走りで逃げ回ります。
      でも狭い部屋だから逃げ場がなくて、すぐに捕まってモフモフされています笑

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