アラフィフ独身女の家探しと、ちょっと不思議な営業マン

最近は仕事も落ち着いてヒマなので、物件情報検索が捗ります。

ワタシの場合、今のマンションに特に不満はなく、強いて言えば「書斎用にもうちょっとだけ広いといいのにな〜」くらいのモチベーションなものですから、検索しまくっても引っ越したいほど惚れ込む家やマンションはなかなか見つかりません。
そうやってダラダラ物件を見続けていると「みんな、どうやって家を買っているんだろう…」と不思議な気持ちになりました。
参考:家やマンションを購入するパワーは、どこから来るのか。

そんなある日、ふと戯れにエリアを広げて検索したら、気になる新築戸建て住宅がヒットしました。

気になった新築戸建ての好きなポイント

1階に浴室と個室、2階にLDK

2階リビングがどうしてもいいというわけではなく、洗濯動線の問題です。

ワタシは100パーセント部屋干し派で、浴室・洗面所が洗濯物干しの主戦場。
乾いた洗濯物をスッと片づけられるように、浴室・洗面所の近くにクローゼットがあるのが望ましいのです。
参考:【提案!】理想のランドリールーム

しかし建売住宅の多くは、キッチンの隣に浴室があるパターンが多い。
二層式洗濯機の時代、まだホットクックもなかったあの頃なら、洗濯物の面倒を見ながら調理するということが必要だったかもしれません。
あるいはお子さんが小さくてバスタイムがてんやわんやのファミリーなら、キッチンと浴室が近いのはいいのかもしれません。
でもワタシの場合、料理中に洗面所や浴室に行きたくなったことは一度もない。なので「水回りを1カ所に集めて、家事効率アップ☆」とか言われても、ワタシ的には何のときめきもないのです。

百歩譲って水回りをワンフロアにぎゅうぎゅう固めたプランでも、リビングのほかに個室もあって、歳を取ったときにワンフロアで生活を完結できそうな家なら「それもありかもね」と思います。
が、街中の狭小住宅だとそんな余裕はありません。LDKと浴室・洗面所・トイレのみ、個室へは階段で移動してね、な家が多い気がします。
生活の中で絶対階段移動が必要なら、無理にワンフロアにぎゅうぎゅう詰めにしなくても機能を適度に振り分ければいいのになあ、と思います。

なので件の物件のように、1階に浴室・洗面所と寝室にできそうな個室やクローゼット、2階にLDK、となっているだけで割とキュンとしてしまいます。

謎の掃き出し窓がない

戸建てを見ていて謎なのが、駐車場に面しただけの掃き出し窓の存在です。

庭に面しているなら分かりますよ。洗濯物を干したり植えてあるプチトマトを収穫したりと、掃き出し窓は何かと便利ですよね。
しかし敷地面積の狭い家で、掃き出し窓の目の前が自動車だけという造りだと「そんなに車のお尻を眺めて生活したいのかな?」と不思議なのです。
いやまあ、大物家具家電の搬入に便利だと言われればそれまでですが。

その点、件の物件は2階リビングということもあって、謎の掃き出し窓がありません。

無駄な装飾性がない

土地が狭いものですから、建物は総2階建てのズドンとした造りです。そして建物以外は駐車スペースのみで、植栽もない。
良く言えばシンプル、悪く言えば味気ない物件です。
しかし趣味じゃないデザインでごてごてされるよりはズドンとシンプルな方がよほど好ましく、また管理しきれない庭が中途半端にあるくらいなら何もない方がスッキリします。淋しければ植木鉢でも置けばいいのよ。

インテリアもまったく凝ったところがなく、かつ壁紙も床も建具も素っ気ない安物ですが、長年そういう内装のマンションに住んでいるので許容範囲。
無闇に高級感を出そうとあちこちビカビカと鏡面仕上げにしてあったり、ちっとも趣味じゃないアクセントクロスを多用してあったり、そういう方がワタシとしては嫌。
それよりは安っぽくても明るくてシンプルな内装の方が好感が持てます。

ウナギの寝床ではない

街中狭小住宅にあるあるなのが、元々一軒の敷地を3つ4つに分筆して細長い3階建てを作っちゃう風景。
件の物件は狭いけれどそこまで酷い細切れではなく、割と素直な形の建物で、どの部屋も綺麗な長方形です。
家具の配置もしやすければ、無駄な廊下もなくて動線が短く、かなり好ましい間取りでした。

収納たっぷり!

狭小住宅といっても今の部屋よりは全然広いです。
クローゼットも充分なサイズだし、パントリーもしっかりある!

安い…!!

名古屋郊外ならこんなに安いのかー!
恐らく今のマンションを売り払ったお金で賄えちゃいそうな価格なので、買い替えとしてはかなり現実的な身の丈に合った物件でした。

 

物件情報や写真を見て「いいねいいね」とワクワクしましたが、買うのはちょっとね…と思いながら眺めていました。
何がネックかというと立地です。そもそも検索対象から外していたくらいのエリアですから、住む気はまったくない街でした。しかも通勤が不便になるのです。
ただ、ハザードマップを見ると洪水や土砂災害の可能性は低く、私鉄駅からも近いので、エリアは広げてみるものだわねーということを学習しました。

自分史上最高に不思議ちゃんな不動産営業マンとの出会い

「買わんだろうね」と思いつつも建売住宅でここまで気になるのも稀なものですから、後学のために(何の?)内見を申し込んでみることに。
問合せフォームに入力して送信し、不動産屋からのメール返信を待ちました。
程なく返信が来たはいいのですが、その内容がなかなか珍しいものでした。

今まで色んなマンションや戸建ての内見に申し込んできましたが、大抵は伝えた希望日の中から「何時ならご案内できますよ」と連絡が来て、ではその日でよろしくと相なる、という流れでした。
が、そのときのメールは「大きな買い物ですので、ご夫婦でご予定を合わせてまたお知らせください」みたいな内容でした。

ご夫婦!
夫の人、どこに居るの!?

これまで「ご同行者は何名様ですか」と問われたことはあれど、夫の都合も聞いて連絡せよと言われたことは初めてだったので、目が点ですよ。
若い頃でも女ひとりで行動するのに不便を感じたことはあんまりなかったのに、21世紀に入ってン十年、この歳になって体験するとは思ってもみませんでした。
ひとり者なので…と連絡して内見日時をどうにか取りつけ、無事詳細資料も送ってもらえましたが。

 

さて、内見当日です。

物件を目の当たりにしてみたら、パース図より明るくて好印象でした。
ほうほう、いいねえ。と外から眺めていると、玄関から営業マンらしき人が登場。若い男性で、例のメールをくれた人でした。

早速中を案内してもらったところ、ますます好感度アップな家でした。
小さな家だから…と、図面を見ながらせせこましい室内を想像していたのですが、玄関も洗面所もゆったりと広いです。
そして明るい!
南面に大きな窓がある家ではないし、狭い敷地にギチギチ建ててあるから採光には期待していませんでした。
が、内見した時間がよかったのとその日の天気のせいもありますが、2階だけでなく1階も充分明るかったです。

気にならないことがなくもなかったです。
ひとつはキッチンの高さ。今のマンションで快適な90センチに慣れてしまったので、標準的な85センチは「低っ」と感じました。
参考:【キッチン】劇的に作業を快適にするためにはアレが重要だった!
それと、照明やコンセントは「もうちょっとこうだったらいいのにな」と思うことがポロポロありました。
この辺りは完成した建売住宅だのマンションだのを買うときには如何ともし難いですね。

一通り室内を見終えてから、営業マンの営業トークを拝聴です。
メールの印象が最悪だった営業マンですが、直に会って喋ると明るくハキハキした普通の青年でした。
こんな経緯で色々探しているんですよー、名古屋市内の地価上昇はえぐいですねー、通勤に便利となるとここよりあのエリアの方がいいですけど、あの辺も高いですよねー、なんてことをトークです。

んで、避けては通れないお金の話も出ました。
もし買い替えるとしたら、つなぎの部分では厄介だろうけどマンションが売れたら特に問題ないだろう。何なら今のマンションのローンを先にすっぱり完済しちゃえばいいんだから。
と、ワタシは呑気に考えていたのですが、営業マンは眉間に皺を寄せて電卓を叩いています。
ワタシがアンケート用紙に年収を書いてなかったので、営業マンに「金利が変わってくるから…訊いちゃってもいいですか…」と言われ、素直に昨年の額面を答えたところ「えっ、あっ…」と営業マンが挙動不審になりました。
「その年収だったら大丈夫っす! いやー、余裕っす!」と急に眉間の皺が浅くなる営業マン。
いや、平社員だから大した年収ではないのにその反応って、どれだけ低収入だと想定していたんだ…。
高齢独身女で低収入と最悪スペックなのに戸建てを買おうとする無謀なオンナ…。そう見られていると想像すると、愉快ではありませんね。

一通り話し終えて、じゃあご検討くださいね、決算近いからお値引きもありえますよ、などと言いながら資料をまとめてもらい、物件を後にしました。
なーんか営業マンが気になるけど、家はよかった。いつか注文住宅を建てることがあれば、あれくらいこじんまりとした、でも暮らしやすそうな家を作りたい。なんて思いました。

ちょうど昼時だったので近所の定食屋に入り、営業マンがくれた資料を眺めてみると、間取りが違う。設備や建具の写真も現物と違う。
なんだコレとよく見ると、別の物件の資料でした……。
家自体はよかったけど、あの営業マンから買うのは嫌だ。と、マンション購入時に営業パーソンに恵まれたワタシは強く決意したのでした…。

 

さて、実際買うかどうかというと、物件自体はよかったし値段も手が届くけど、買いませんね。
やはり立地がネックです。

閑静な住宅地で、窓から見える景色は空と住宅の屋根だけという落ち着く環境でしたが、長年街中に住んでいるワタシは静か過ぎて却ってドキドキしました。
駅から近いといっても家が続くだけで魅力的な店なんぞはなく、夜道を歩くのはしんどそうです。
こういう住宅地に住むなら車を買って、週末は大型ショッピングモールへ買い出しに、てな風に暮らすのがラクなのでしょうが、長年ペーパードライバーで会社帰りにデパ地下で野菜を買うみたいな生活を続けてきたのでガラッと変えるのはしんどそう。
生活をガラッと変えてもいいほど住みたい街かというと、縁もゆかりもない土地なのでそこまでのモチベーションは上がりません。

おまけに、立ち寄った定食屋で隣の席に座ったおっさんが、婦女子の裸がどーんと載ったいかがわしい雑誌を広げ、余計に「うーん」となりました。
いかがわしい雑誌を置いてある店もアレだし(クリームコロッケは美味しかったけど)、オバサンとはいえ女性の横で無神経にそんな雑誌を広げるおっさんもアレだ。
と、嫌な印象で終わったのでした。

マンションの最寄駅に帰って、適度に人通りのある街路樹が美しい道を歩いていると、ホッとしました。
高いビルとマンションが密集している街で、快適に人間が暮らせる環境ではないのかもしれないけど、その街で20年近く生活しているとワタシにとってはここがホームなのです。

投稿者:

りんむじんづ

20代で購入したマンションは、無事にローンを完済したかと思ったら売り払い、30代でまたまたマンションを買いました。好物はマンションの間取り図。旅とグルメにも目がありません。ブリティッシュショートヘアの男子(ブリ男)との同居を始め、ますます極楽な生活を送っています。

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