Apple Watchはなぜダサいのか

先日、電車の中でApple Watchを着けている人を久しぶりに見かけて「おおぅ…」と複雑な気分になりました。

Businessman

Apple Watchが発売されたときの「うわー、だっせ!」という衝撃は、IT業界史の汚点として残ることでしょう。
エルメスやナイキとコラボしてデザイン的なダサさは多少改善されたようにも見えますが、装着している人を見かけるとまだ「おおぅ…」と思ってしまう程度にはダサい。

なぜApple Watchはこれほどまでにダサいのでしょうか。

それは、腕時計というかなり成熟したファッションアイテムと真っ向からぶつかっているからです。

腕時計が生まれたのは約200年前。
懐中時計みたいに取り出す手間がないという実用的な面からも、ドヤ顔できる最先端の装身具という非実用的な面からも需要があり、発達と普及を遂げてきました。

驚くべきは、カルティエのサントスが生まれたのは100年も前だということ。

もちろん性能アップとともにデザインもマイナーチェンジしていますが、基本的なところは100年間変わっていません。そして21世紀の今初代サントスを見ても「いい時計だな~」と思ってしまう。

ロレックスのデイトナにしてもそうですね。発売から約半世紀経ってもいまだに大人気で、しかも中古新品ともに値上がりを続けているという。

この定番腕時計のデザインの安定性たるや、ちょっとほかでは思いつきません。
自動車のデザインも腕時計を見習ってほしいわ。
モデルチェンジを次々にするのって「こないだのデザインは熟考も吟味もしておらず、テキトーに出したんですよ」と言っているようなもので、ブランドイメージを損なうだけのような気がします。

「良いデザイン」とは何かというと、いろいろ解釈はありますが、ワタシは「思想があること」だと考えています。

毎年のようにコロコロとデザインを変える自動車には、こういう車を作りたい! という思想が感じられない。
サントスやデイトナには「これこそザ☆腕時計、腕時計の完成形である!」という気概を感じる。

そして美しく実用的なデザインに甘んじることなく、時代に合わせてマイナーチェンジを繰り返して、50年100年と洗練させ続けてきたという歴史がまた素晴らしい。
サントスやデイトナなどの一流どころが慢心することなくトップを走り続けたからこそ、あらゆるデザインや機能の腕時計が生み出され続けて、老いも若きも貧者も富豪も腕時計を楽しめる世界が作られていったのでしょう。

そこにポンとApple Watchを放り込んでも、鼻で笑われるに決まっています。
シンプルなデジタル時計ならカシオで充分だし。

1,000円の時計並みのデザインのくせに、バッテリーが持たないだの熱を持つだのまともな時計としても使えないとか。
100年早いわ! としか言いようのないお粗末感です。

 

さらに、Appleはひとつ大きな勘違いをしているのもダサさを助長しています。

腕時計とは、本質的には時間を確認するためのモノではないのです。
Appleは「腕時計とは人に見せるモノだ」ということを理解していない。

お客さんとやり取りする人はよくわかると思うのですが、客前で時間を確認するには腕時計はとても不便です。
なぜなら腕に視線を向けるだけで相手に「時間を気にしているな」ということがバレてしまうから。

だからワタシは相手に時間を気にさせたくないときは腕時計を外して、視線を動かさなくても見える位置に置きます。
逆に相手に時間について気を遣わせたいときは、嫌味なほど大きさな動作で腕時計を覗き込む。つまらん会議で時間が押しているときとか、面白くないデートで早く帰りたいときとかね。
「時間を気にする」ということをその場の人達で共有するのが腕時計の重要な機能であって、本人だけが時間を知って満足するというのは副次的な役割であると言い切ってしまってもいいわけです。

そういう目の前の人とのコミュニケーションツールである腕時計を、目の前にいない人とのコミュニケーションツールにしてしまったことがApple Watchの失敗です。

場面によっては覗き込むことさえためらわれる腕時計に、その場に関係ないメールの着信のお知らせがじゃかじゃか届いたら空気が凍る。
それが業務上機密度の高いメールの可能性もあるわけで、商談相手やら電車の向かいの席の人には着信そのものを知らせる必要もないのになぜ腕時計様にして知らしめる必要があるのやら。
そんなのメールの着信機能を切っておけば済むハナシじゃんと思うなら、それこそApple Watchじゃなくてカルティエやカシオでいいじゃん。

iPodやiPhoneがウケたのは、これまでになかったモノを作った、あるいは類似品はあったけど見た目や操作性をガラッと新しくしたせいであって、歴史があるモノにこそっと乗っかったせいではありません。
新しい時代の新しいデバイスであることを謳うのであれば、これまでにない新しいものを作るべきでした。

 

Apple Watchには関心のないワタシですが、スポーツ時のウェアラブル端末としてはちょっと欲しいなーと思いました。
心拍計とか歩数計とか、さすがにスマホだとデカ過ぎて運動するときには邪魔なんです。

でもやっぱり腕時計である必要はないですね。
スポーツするときに腕に何か巻くのを嫌う人も少なからずいるし、自転車乗るときのナビに使うなら腕時計よりも補聴器みたいなタイプの方が安全そう。
ナイキと提携している間にスポーツシーンのノウハウを得ておけよApple、と思ってしまいました。

参考:【女子目線】デキるビジネスマンのスーツは○○だけ!

スマイスターMagaZineにてコラム連載中!

投稿者:

りんむじんづ

間取図だけで3杯メシが食え、旅のためだけに日々労働し、美味しいものを好きなだけ食べられるようにジム通いに励む、そんなOLです。

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