休日の昼下がり。
大通りに面したカフェの一角から、行き合う人々をぼんやりと眺める。
街は早々にクリスマスムードになっていて、ショーウィンドウは赤と緑ばかり。店内に流れているのもクリスマスソング。
こんな環境に身を置くと、雑踏すら浮かれているように見えるから不思議。
まだ午後早い時間だけれど、今日の予定はもう済ませた。
整体に行ってバキバキの身体を調整してもらい、冬用のもこもこ靴下を買った。ほかに今日やろうと考えていたことは、ない。
天気がいいから散歩代わりに遠回りして、お気に入りのケーキ屋で焼き菓子でも買って、暖かい部屋で映画でも観ればいい。
…でも、今は家には帰りたくない。
家には可愛い猫が待っているとはわかっている。
こんな場所で薄いコーヒーを啜っている場合じゃないのだ。
でも帰りたくない。